西日に照らされたバスの車内は、むせ返るような熱気に包まれていた。 「……ん、指くん。ちょっと眠い……」 えまの声は、練習の疲れのせいか少し湿っぽく、甘えているように聞こえる。 ゴルフウェアの上に羽織ったジャージの隙間から、練習で火照った彼女のうなじが見えた。健康的な肌に、一筋の汗がゆっくりと伝い落ちていく。

その時、バスが大きく揺れた。 「あっ……」 密着した彼女の体が、一瞬ビクンと跳ねる。 指くんが顔を覗き込むと、えまは顔を真っ青にし、潤んだ瞳でこちらを見上げていた。彼女の細い指先が、助けを求めるように指くんの制服の裾を強く、強く握りしめる。 混雑した背後から、誰かの不自然な手が、彼女の短いスカートの裾へと伸びていた――。

「えま、こっち来い。動くなよ」 混み合ってきた車内、指くんはえまをバスの最後尾の角に誘導し、自分の体で彼女を包み込むようにして立った。

えまの鼻先には、指くんの制服の第2ボタンがある。 「……ありがと、指くん」 15歳のえまにとって、16歳の指くんの胸板は意外と厚く、守られている安心感で少し顔が熱くなる。

しかし、その安心感は一瞬で打ち砕かれた。

指くんの脇の隙間から、卑劣な手が忍び寄る。それはえまの細い腰をなぞり、そのままゴルフウェアのタイトなスカートの中へと潜り込んだ。

「っ……!? ……ふ、あ……」

えまの体がビクンと跳ね、指くんの胸に押し付けられる。 指くんからは、えまの顔がすぐそこに見える。

「えま? どうした?」

異変に気づいた指くんが問いかけるが、えまは答えられない。 犯人の指先が、ストイックに鍛えられた彼女の柔らかな内腿を、いたぶるように、かつ巧みに愛撫し始めたからだ。

「ん……っ……く、……ゆび、くん……っ」

目の前には、自分を守ってくれている大好きな指くんがいる。 それなのに、彼の腕の中で、自分は今、見知らぬ男に触られて……あろうことか、経験のない体が熱く疼き始めてしまっている。

指くんのシャツを掴むえまの指先に力がこもる。 涙目で彼を見上げるえまの表情は、助けを求める必死さと、快感に抗えない淫らさが混ざり合い、壊れそうなほど「エロ可愛い」ものになっていた。

指くんは気づいた。 自分の背後から伸びる、えまのスカートの中を蹂躙する卑劣な手の存在に。

本来なら今すぐその腕を掴み、えまを救い出すべきだ。 だけど――。

「……っ、んぅ……ゆび、くん……たすけ……て……」

自分のシャツを握りしめ、必死に声を殺して泣きそうになっているえま。 その潤んだ瞳と、快感に抗えず微かに震える唇を見た瞬間、指くんの心の奥でどす黒い独占欲が跳ねた。

(……もっと、見たい。えまが、壊れるところ)

指くんは「気づかないフリ」を決め込んだ。それどころか、 「えま、もっとこっち来い。……人が多いからな」 そう言って、彼女の腰をぐいと自分の方へ引き寄せた。

「っあ!?」

えまの体が跳ねる。指くんに強く抱き寄せられたことで、犯人の手がさらに奥まで、逃げ場のない場所へと食い込んだのだ。

指くんの胸板に押し付けられたえまの柔らかな胸。その鼓動が、アスリートらしく力強く、そして狂ったように速くなっているのが伝わってくる。

「指くん……、んんっ……だめ、なにか、変なのが……っ」

涙をこぼしながら訴えるえま。だが指くんは、わざと優しく彼女の頭を撫で、耳元で低く囁いた。

「大丈夫だよ、えま。俺がついてるから……じっとしてろ」

その言葉は、彼女を安心させるためのものではない。逃がさないための、呪文だった。 指くんの腕という檻の中で、えまは犯人の指先に弄ばれ続け、ついにカクンと膝の力が抜けた。

指くんの肩に顔を埋めたえまから、甘く、痺れるような、熱い吐息が漏れ出す。

(……すごい。えま、こんなに感じてるんだ……)

自分の腕の中で、他の男の手によって「女」にされていく後輩。 指くんはその様子を冷徹に、そして熱狂的に見つめながら、さらに強く彼女を抱きしめた。

「ゆび……くん……っ、はぁ……っ」

えまの視界は、すでに涙で白く霞んでいた。 自分を守るように囲んでいる指くんの、清潔な石鹸と少しの汗が混じった、大好きな香りが鼻をくすぐる。その安心感に包まれているはずなのに、下半身は今、見知らぬ他人の指によって蹂躙され、吐き気がするほど卑猥な熱を孕んでいた。

(やだ……っ。指くんの目の前なのに、私……どうなっちゃってるの?)

犯人の指先が、下着のレースを強引に割り込み、一番敏感な場所を容赦なく弾く。 その瞬間、えまの背骨を電撃のような熱い衝撃が駆け上がった。

「っ、んあぁ……っ!」

声を出してはいけない。そう思えば思うほど、指くんに密着した胸の奥が疼き、肺に溜まった熱い空気が嬌声となって漏れそうになる。 皮肉にも、指くんが自分を引き寄せてくれるたびに、犯人の手と指くんの体の間に挟まれたえまの「そこ」は、より深く、逃げ場のない角度で抉られた。

指くんの逞しい腕という「安全な場所」と、犯人の手による「汚らわしい刺激」。 その境界線が、パニックに陥ったえまの頭の中でぐちゃぐちゃに混ざり合っていく。

(指くんの匂い……、でも、ここが、熱くて……。触られてるの、気持ち悪いのに……指くんが抱きしめてくれるから、もっと……ひどい感覚が、くる……っ!)

恐怖による震えなのか、あるいは抗えない快楽による痙攣なのか。 えまの鍛えられた太ももは、座席の狭い空間で小刻みに、激しく震えていた。

「指、くん……っ、ゆび……くん……たすけ……、あ……っ」

指くんのシャツを掴む指先に、爪が食い込む。 えまはもはや、自分を襲っているのが「悪意」なのか、それとも「愛する人からの刺激」なのかさえ判別がつかなくなっていた。

指くんが、自分を見てくれている。 その熱い視線が、犯人の手以上に彼女の理性を焼き切り、えまはついに力なく首を垂れると、指くんの胸板に自身の熱い唇を押し付け、情けない声を漏らしながら崩れ落ちた。

バス停から少し離れた街灯の下。 えまは指くんに支えられながら、力の入らない足でどうにかアスファルトに立っていた。

「……大丈夫か、えま。顔色、悪いぞ」

指くんの優しい、いつも通りの声。その響きが、今のえまには何よりも辛かった。 彼は気づいていない。自分のすぐ目の前で、後輩が男に弄られ、あられもない反応を漏らしていたなんて。

「……うん。ごめん、指くん。ちょっと、練習疲れちゃったみたい……」

えまは俯き、必死に声を震わせないように答える。 しかし、スカートの奥の内腿には、まだ犯人の指の感触が、そして何より「反応してしまった自分」の熱い余韻が、どろりと重く残っている。

(最低だ、私……。指くんが一生懸命守ってくれてたのに。あんな、あんな気持ち悪いことされて……あんな声、出して……っ)

プロを目指して、毎日ストイックに体を鍛えてきた。自分を律してきたはずだった。 それなのに、あんな卑猥な刺激に負けてしまった。 大好きな指くんの腕の中で、あんな淫らな顔を見せていたかもしれないと思うと、消えてしまいたいほどの羞恥心が押し寄せる。

「……えま?」

指くんが心配そうに顔を覗き込み、彼女の肩に手を置く。 その指先の熱を感じた瞬間、えまの体はビクンと跳ねた。

「っ……触らないで!」

思わず叫んで、えまは自分の口を両手で覆った。 指くんは驚いたように目を見開いている。

「あ……ごめん、違うの、指くん……。違うの……っ」

えまの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちる。 「汚れてしまった自分」が、清らかな指くんに触れられるのが怖くて、申し訳なくて。 指くんはすべてを知っている。彼女が今、どんな罪悪感に焼かれているのかも、その下着がどうなっているのかも。

「……。悪かった、無理に連れ回して。家まで送るよ」

指くんは、あえて核心には触れず、ひび割れたような微笑みを浮かべて彼女の背中に手を添えた。 その「優しい嘘」こそが、えまにとっての救いであり、同時に彼女を深い自己嫌悪の底へと沈めていく鎖になる。

えまは指くんの隣を歩きながら、気づかれないように自分のスカートの裾をぎゅっと握りしめた。 股の間で疼き続ける熱が、自分はもう、指くんが思っているような「まっすぐな後輩」ではないのだと、残酷に告げていた。

家までの帰り道、街灯の薄明かりに照らされたえまの横顔は、今にも壊れてしまいそうなほど蒼白だった。

(私は、プロを目指すアスリートなんだ……。毎日、誰よりも厳しく自分を追い込んできたはずなのに)

それなのに、脳裏にこびりついて離れないのは、あのバスの中の卑猥な感覚だ。 犯人の指が、自分の最も柔らかな場所に食い込んだ時の衝撃。無理やり引きずり出された、熱く、甘い絶頂。 あんなに最低で、あんなに汚らわしい行為だったはずなのに、思い出すだけで下腹部が重く疼き、膝の裏がふわふわと頼りなく震える。

(やだ……。また、熱くなってきちゃった……っ)

えまは自分の罪深さに絶望した。 隣を歩く指くんは、何も知らずに自分を気遣ってくれている。彼は、私が今この瞬間も、さっきの快感を思い出して身体を火照らせているなんて、夢にも思っていないだろう。

ふと、歩調を合わせた指くんの指先が、えまの手に微かに触れた。

「……っあ」

えまは、火傷でもしたかのように肩を跳ねさせた。 だが、その瞬間、彼女の心臓を突き上げたのは拒絶ではなかった。

(……もっと。もっと、強く、触って……っ!)

恐ろしいほどの渇望だった。 犯人のあんな汚い手であれほど頭が真っ白になったのなら、大好きな指くんに、もっとめちゃくちゃに触られたら、一体自分はどうなってしまうのか。

「……えま? 本当に大丈夫か。手が震えてるぞ」

指くんが心配そうに立ち止まり、今度はしっかりと彼女の細い手首を掴んだ。 指くんの指の、清潔で、力強い熱。

「あ……、あぅ……っ」

その熱が伝わった瞬間、えまの脳内はパニックを超えた「期待」で溢れかえった。 自己嫌悪の底で、彼女の中の「女」が猛烈に叫んでいる。 あんな知らない男の手じゃなくて、指くんのこの手で、もっと奥まで、壊れるほどかき回してほしい。

(私……最低だ。指くんに助けてほしかったのに。今は……指くんに、あの続きをしてほしいなんて……っ!)

えまは涙をこぼしながら、指くんに掴まれた手首を、自分から彼の胸の方へと引き寄せた。 罪悪感に押し潰されそうな瞳で、それでいて、耐えきれない空腹に喘ぐ獣のような熱を帯びた視線で、指くんを見上げる。

「ゆび、くん……。わたし……わたし、もう、ダメなの……っ。おかしく、なっちゃったの……」

それは、告白ですらない。 自分の崩壊を認め、彼にすべてを委ねようとする、あまりにも無防備な「降伏」だった。

「どうしたんだよ、えま。怖い夢でも見たのか?」

指くんの声は、どこまでも優しく、どこまでも無垢だった。 えまの手首を掴む彼の力加減は、まるで壊れ物を扱うかのように繊細で、それがかえってえまの焦燥を煽る。

「ちが……違うの、指くん。私……私、さっきのバスで……っ」

本当のことを言えば、指くんに嫌われる。軽蔑される。 分かっているのに、指くんの体温に触れている場所から、ドクドクと淫らな脈動が全身に広がっていく。えまの脳裏には、犯人の指先によって弾き出された、あの汚らわしくも甘い閃光が焼き付いて離れない。

「さっきのバス? 何かあったのか? 俺、ずっとお前のこと見てたけど……何もなかっただろ?」

指くんは、三白眼気味の瞳を細め、えまの潤んだ瞳を真っ直ぐに見つめた。 全てを知っているくせに、彼はあくまで「正義の味方」の顔を崩さない。えまが自分自身の口で、自分の「汚れ」を告白するまで、絶対に逃がさないつもりなのだ。

「……あ、……ぁ……っ」

えまの喉から、震える吐息が漏れる。 指くんの優しさが、今のえまには鋭いナイフのように突き刺さる。自分だけが異常なんだ。自分だけが、あんな卑猥な刺激を欲しがっているんだ。

その時、指くんがえまの手首を掴んだまま、ゆっくりと自分の体の方へと引き寄せた。

「そんなに震えて……。そんなに、俺に触ってほしいのか?」 「……っ!?」

指くんは、えまの細い手を、自分の制服のズボンの上、硬く熱い「そこ」へと導いた。

「ゆび、くん……っ、なに、して……っ」

えまは反射的に手を引こうとした。しかし、指くんの力は驚くほど強く、彼女の掌を自分の膨らみの形に沿うように、ぴったりと押し当てた。

「ここ……えまがさっきから、熱い目でおねだりしてた場所だろ?」 「……っ! ちがっ、私は、そんな……っ」 「嘘つくなよ。……ほら、お前の手、こんなに熱いぞ。バスで何されたか、この手で俺に教えてくれよ。……それとも、あいつにされたみたいに、俺にもしてほしいのか?」

指くんに直接「欲求」を指摘され、えまの理性の糸が音を立てて切れた。 掌から伝わってくる指くんの熱量。それは、バスの中の男とは比べものにならないほど、重く、切実で、えまの求めていた「清潔な蹂躙」そのものだった。

「……っ、ふ……あ……」

えまの瞳から、ボロボロと涙が溢れ出す。 拒絶するはずの手は、いつの間にか指くんの熱を確かめるように、自ら指を這わせていた。

「……い、……って……」 「ん? 聞こえないよ、えま」 「……指くんの手で……っ。さっきの、変な……かき回されるの……っ、上書きして……。お願い……っ!」

プロを目指す中3の少女は、街灯の下、最愛の先輩の股間に手を置いたまま、自らの淫らな渇望を泣きながら叫んでいた。

指くんは、えまの手首を掴んだまま、彼女を人気の途絶えた公園の入り口にある生垣の影へと押し込んだ。 背中に触れる冷たいコンクリートの感触。しかし、目の前の指くんから放たれる熱量は、それを一瞬で忘れさせるほど強烈だった。

「……上書きしてほしいんだろ? えま」

指くんの声は、もう先ほどまでの「優しい先輩」のものではなかった。低く、獲物を追い詰めた肉食獣のような響き。 えまは震えながら、ただ頷くことしかできない。

指くんの手が、えまのゴルフウェアのプリーツスカートを、無造作に捲り上げた。 夜の冷気が、犯人の手の名残で火照った太ももを撫でる。しかし、それ以上に、指くんの大きな掌が直接肌に触れた瞬間、えまの体は弓なりに跳ねた。

「っ……あ、ゆび……くん……っ!」

「バスのあいつは、こんな風に触ったのか?」

指くんは、わざと犯人の手つきをなぞるように、それでいてアスリートの筋肉の隙間を熟知しているかのような、的確で容赦ない力加減で「そこ」を捉えた。

「や……ぁ! ちが、っ……指くんの、ほうが……ずっと、熱い……っ」

指くんの指先が、下着の境界線を越え、えまが必死に隠したかった「汚れ」と「期待」の入り混じった場所に到達する。 バスの中での不快な刺激が、指くんの手によって、より深く、より逃れられない猛烈な快楽へと書き換えられていく。

「……えま。今、誰に触られてる?」 「っ、んぅ……ゆび、くん……指くんに、めちゃくちゃに……されてる……っ」

えまは、自分の指を指くんの肩に深く食い込ませ、その胸に顔を埋めた。 プロを目指して鍛え上げた柔軟な体が、指くんの指の動きに合わせて情けなく翻弄される。 犯人の手によって汚されたという意識は、指くんが与える圧倒的な「支配」によって、次第に真っ白に塗りつぶされていった。

「あ、……っ、あぁあ! ……ゆび、くん、好き……だいすきっ……」

えまの喉から、理性をかなぐり捨てた、甘い絶叫が漏れる。 彼女が追い求めていたのは、アスリートとしての栄光ではなく、今この瞬間に自分を壊してくれる、最愛の人の「上書き」だった。

えまは、指くんの腕の中で何度も激しく身を震わせ、ついに力尽きたように彼の胸へと崩れ落ちた。

指くんの指先がもたらした強烈な絶頂に、えまは意識を飛ばしそうになりながら、彼の胸元で荒い呼吸を繰り返していた。 スカートの奥はまだ熱く、脈打つ余韻が彼女の思考を奪っている。

(……救われた。指くんに、全部上書きしてもらった……)

そう安堵したのも束の間。 耳元で、指くんが冷徹に、そしてひどく熱っぽい声で囁いた。

「……えま。上書きしてもらっただけで、終わるつもりじゃないよな?」

「……えっ?」

えまが顔を上げる暇もなかった。 指くんは自分の制服のズボンを緩めると、そこから、えまがさっき手の平越しに感じていた「熱い実体」を、夜の闇の中に剥き出しにした。

「っ……あ……」

えまの瞳が、驚愕で見開かれる。 アスリートとして男子に囲まれて育ってきた彼女でも、これほど近くで、しかも大好きな人から突きつけられる「男の象徴」は、あまりにも凶暴で、圧倒的だった。 街灯の微かな光を反射して、それは脈打ちながら、えまの顔を覗き込んでいる。

「これ……バスの中で、えまの顔を見てたら、こんなになっちゃったんだよ」

指くんの言葉に、えまは凍りついた。 彼は気づかなかったんじゃない。あの卑猥な光景を特等席で眺めながら、自分に対してこんなにも「汚い欲情」を膨らませていたのだ。

「……ゆび、くん。気づいて、たの……?」

「気づいてたよ。えまが嫌がってるのも、……途中から、あんなに感じてたのも、全部」

指くんはえまの震える手を取り、今度は布地を通さず、剥き出しの「そこ」へと直接導いた。

「っ、熱……い……っ!」

掌に吸い付くような、熱く滑らかな皮ふの質感。ドクドクと伝わってくる、暴力的なまでの生命の鼓動。 自分が犯人の手で乱れていた時、指くんもまた、この熱を自分にぶつけたくて堪えきれずにいた。その事実が、えまの心臓を激しく打ち鳴らす。

「ほら、しっかり触って。……えまが気持ちよくなった分、今度はえまが、俺を気持ちよくする番だろ?」

指くんに言われるまま、えまはその熱を指先でなぞった。 指くんの「汚れ」が、自分の掌を通して全身に伝わっていく。 もう、逃げ場はなかった。 憧れの先輩を汚してしまっているという背徳感と、自分もまた、この「熱」を心から求めていたという抗えない事実に、えまは再び顔を真っ赤に染め、指くんのモノを愛おしそうに、そして淫らに握りしめた。

「……ゆび、くん。こう……? こうすれば、いいの……っ?」

えまは、ゴルフで培った繊細な指先を、今度は指くんの熱い実体へと這わせた。 初めて触れる、自分とは全く違う、硬くて熱い「男」の象徴。 指くんは、生垣に背を預けたまま、苦しげに喉を鳴らして首をのけ反らせている。いつも余裕のある年上の彼が見せる、初めての「弱み」に、えまの心臓はさらに速く脈打った。

「……あぁ。上手いよ、えま……っ。そのまま、もっと……」

指くんの掠れた声に、えまは夢中になった。 掌で包み込み、上下にしごくたびに、指くんの体がビクンと跳ねる。その反応がたまらなく愛おしく、誇らしくて、えまは自分の顔がこれ以上ないほど熱くなっているのを感じていた。

バスで犯人の手に弄ばれた屈辱が、指くんを自分の手で翻弄しているという優越感で塗りつぶされていく。

「っ、……えま、もう、限界だ……。出、る……っ」

「……っ!?」

指くんの指が、えまの後頭部に深く食い込み、彼女を自分の方へと引き寄せた。 次の瞬間。

ドクッ、と力強い鼓動とともに、えまの掌と、ゴルフウェアの真っ白なシャツに、熱い衝撃がほとばしった。

「あ……っ、……っ」

指くんの熱い放出が、えまの指の間をこぼれ、彼女の胸元を汚していく。 生温かい感触が肌に伝わるたび、えまは自分が指くんの「一番深いところ」を受け入れたのだという実感を、全身で噛み締めていた。

しばらくの間、二人の荒い吐息だけが夜の公園に響いていた。 賢者タイムのような静寂の中、指くんは、放心状態で自分のシャツを見つめるえまの顎を、優しく指先で持ち上げた。

「……悪かったな。えまの綺麗なウェア、汚しちゃった」

指くんはそう言って、悪戯っぽく、でもどこか独占欲を滲ませて微笑んだ。 えまは、自分の胸元に広がった白い汚れを見つめ、それから指くんの瞳をじっと見つめ返した。

「……ううん。これ、私と指くんの……秘密、だよね?」

えまは、汚れを隠すようにジャージのファスナーを上まで上げた。 自己嫌悪はもう、どこにもなかった。 明日、練習場でこのジャージを羽織るたびに、彼女は今夜の指くんの熱量と、自分を支配したあの快感を思い出すことになるだろう。

「……帰ろう。明日も、朝から練習だろ?」

指くんに手を引かれ、えまは一歩踏み出した。 足元はまだ少しふらついていたけれど、その足取りは、先ほどよりもずっと力強く、確かな熱を帯びていた。

                     完