『「77」満員電車の残熱』
2026/01/30(金)
つり革を握る指の指先は、自分でも驚くほど冷え切っていた。十八歳の誕生日を迎えたばかりの彼は、名前に反して器用な生き方ができず、いつも自分の所在なさを抱えて満員電車に揺られている。大学へ向かう急行電車は、不快な熱気と湿った吐息で満ちていた。
目の前に立つ女性は、指の視線を吸い寄せて離さなかった。薄紫色のブラウスからは、若すぎる女子大生には出せない、熟成されたワインのような芳醇な香りが漂ってくる。彼女の長い髪が揺れるたび、指の鼻腔をくすぐる。彼は居心地の悪さに視線を落としたが、逃げ場はどこにもなかった。
不意に、電車が大きくカーブを切って激しく揺れた。乗客の体がドミノ倒しのように重なり、指の正面にいた彼女の体が、逃げようのない密着度で押し寄せた。
「あら……ごめんなさい」
彼女の潤んだ唇が、指の耳たぶをかすめるように動いた。彼女のしなやかな指先が、支えを求めるふりをして、指の右手にそっと重ねられる。それは単なる事故とは思えないほど、ゆっくりとした、確信犯的な動きだった。
彼女の手のひらは驚くほど熱く、指の冷めた皮膚をじりじりと焼き焦がすようだった。彼女は指の指の間を、自分の指で一本ずつ確認するように絡めてくる。十八年間、誰の体温にも深く触れたことのない彼にとって、その感触は暴力的なまでの快楽を伴って脳髄を痺れさせた。
指は声を出そうとしたが、喉が激しく渇いていて、言葉にならない吐息が漏れるだけだった。彼女は彼が童貞であることを見抜いているのか、さらに大胆に、自由な方の手で彼の胸元をなぞり始めた。ブラウス越しに伝わる彼女の曲線と、掌から侵入してくる濃厚な色香に、指の理屈は音を立てて崩れ去っていく。
駅に到着するアナウンスが遠くで鳴り響くなか、彼女は顔を上げ、挑戦的な笑みを浮かべて彼の瞳を覗き込んだ。その瞳には、未熟な少年を翻弄することを楽しむ、大人の女の残酷なまでの美しさが宿っていた。
電車が次の駅に向けて加速するにつれ、車内の密度はさらに増していった。指の目の前にいる彼女は、逃げ場を失った体を引き寄せるようにして、彼との距離をゼロにした。
彼女の柔らかな胸の感触が、指の薄いシャツ越しにダイレクトに伝わってくる。しなやかな太ももが、彼の硬直した足にぴったりと重なる。彼女の体温は驚くほど高く、指の全身を包み込むような熱を帯びていた。けれど、彼女の手は依然としてつり革と自身のバッグを握ったままで、決して彼に触れようとはしなかった。
ただ、密着している。その事実だけが、指の理性を狂わせていく。
彼女の長い睫毛が揺れ、ふとした拍子に彼女の吐息が指の鎖骨あたりに吹きかかる。触れられていないはずなのに、密着した部分から彼女の鼓動が波紋のように伝わり、指の心臓を激しく打ち鳴らした。彼女はわざと体重を預けてくる。指がその重みを受け止めようと踏ん張るたびに、お互いの体の凹凸が噛み合い、皮膚の下で熱が爆発しそうになる。
彼女は視線を窓の外にやり、平然とした顔をして立っていた。しかし、電車の振動に合わせてわずかに体が揺れるたび、彼女の柔らかな曲線が指の体の上を滑り、焦らされるような感覚が彼を襲う。指は、自分の手がどこにあるべきか分からず、ただ拳を握りしめて耐えるしかなかった。
触れ合っているのに、触れられていない。その絶妙な境界線で、指は自分がどんどん彼女のペースに飲み込まれていくのを感じていた。彼女が深く息を吸い込むと、その胸の動きが彼の胸板を圧迫し、言葉にできない官能が車内の淀んだ空気を塗り替えていく。
十八歳の彼にとって、この無言の密着はどんな愛撫よりも残酷で、そして刺激的だった。彼は汗ばんだ手でつり革を握り直し、隣り合う彼女の存在感に、ただひたすらに翻弄され続けていた。
電車がポイントを通過した瞬間、車体は大きく左右に揺さぶられた。指は倒れそうになる体を必死に支えたが、その衝撃で彼女との距離はさらに数ミリ詰められた。
彼女が体の前で抱えるように持っていた小ぶりなハンドバッグが、重力に従ってわずかに位置を変える。バッグの柔らかなレザーの質感、そしてそれを握る彼女の指先が、指のズボンの膨らみに、偶然を装ったような確実さで触れた。
指の背筋に、火花が散るような衝撃が走り抜けた。彼女が体勢を立て直そうと身じろぎするたび、バッグの硬い角や彼女の指の背が、もっとも敏感な場所に容赦なく擦りつけられる。彼女自身は相変わらず平然とした横顔を崩さず、窓の外を流れる景色を眺めている。しかし、密着した腹部からは彼女の呼吸が一段と深くなったのが伝わり、それが確信犯的な沈黙であることを物語っていた。
逃げたくても、満員の壁がそれを許さない。それどころか、周囲からの圧力が増すたびに、彼女の手とバッグは指の「そこ」を逃がさないように押しつけられ、規則的な振動に合わせてゆっくりと、執拗に摩擦を繰り返す。
指は、羞恥心とそれ以上の熱情で顔が燃えるように熱くなるのを感じた。十八歳の彼にとって、これほどまでに具体的で、かつ無機質な刺激は未知の領域だった。触れているのはバッグのはずなのに、その奥にある彼女の手の熱が、素材を通り抜けて自分を直接愛撫しているかのような錯覚に陥る。
彼女はふと、指と目が合いそうになるほど近くで小さく、けれど艶やかに唇を綻ばせた。それは指をあざ笑うためか、それとも彼と同じようにこの密かな愉悦を楽しんでいるのか。指は、自分の鼓動が電車の走行音をかき消すほどに高鳴っているのを、彼女に悟られないようにするのが精一杯だった。
電車が駅に滑り込み、ぷしゅうと音を立ててドアが開いた。人の流れが大きくうねり、指と彼女を隔てていた密着も一度はふわりと解消される。指は、火照った体を冷ますように深く息を吐き、降りる客の隙間を作ろうと体を壁に寄せた。
しかし、一瞬の解放は長くは続かなかった。
入れ替わりに乗ってきた新しい客たちが、再び濁流のように車内を埋めていく。指が体勢を立て直す間もなく、まるで磁石が引き寄せられるかのように、彼女が再び彼の正面へと滑り込んできた。それは偶然を装うにはあまりに鮮やかで、彼女の体から漂う甘い香りが、再び指の視界を支配する。
彼女は決して、ずっと押し付けてくるような野暮なことはしなかった。電車のわずかな揺れや、周囲の客が身じろぎするタイミングを見計らい、ほんの一瞬、忘れた頃にまたあのバッグを抱えた手が指の膨らみに「かすめる」のだ。
指は、その寸止めのようなもどかしさに、自分でも気づかないうちに彼女の次の動きを待ってしまっている自分に気づいた。彼女は決して目を合わせず、何事もなかったかのように吊革を見上げているが、その体は先ほどよりもさらに深く、指の懐へと潜り込んでいる。
彼女のバッグが、指のズボンの生地をさらりと撫でる。熱いものが一気に下腹部へと集まっていく。彼女は、指がどれほど翻弄され、どれほど必死に平然を装っているかを楽しんでいるかのようだった。押し付けられるよりもずっと官能的な、その断続的な摩擦。指は、自分の心臓が喉元までせり上がってくるような錯覚を覚えながら、再び加速し始めた電車の揺れに身を任せるしかなかった。
今度は、彼女の吐息がより近く、指の首筋を優しくなぞった。
電車は無慈悲にも指の目的地へと滑り込み、ドアが開いた。彼女は最後の一瞬まで、まるで無垢な乗客のような顔をして、バッグ越しにあの熱い感触を彼に残していった。指は逃げるようにホームへ降り立ち、爆発しそうな下腹部を抱えて駅のトイレへと直行した。十八歳の彼にとって、あの数十分間はあまりに過酷な試練だった。個室の中で荒い息をつきながら、彼は自分の名前に似合わぬ無骨な指先で、彼女が残した余熱を必死に追いかけるしかなかった。
翌朝、指は昨日の出来事を夢だったのではないかと疑いながら、いつもの時間にいつもの車両に乗り込んだ。
昨日の今日で、そんな幸運——あるいは不運——が続くはずがない。そう自分に言い聞かせ、教科書を広げて文字を追おうとする。しかし、活字は全く頭に入ってこない。電車のドアが閉まり、ガタンと車体が揺れたその時だった。
人の影が視界を遮り、あの芳醇な香水がふわりと鼻腔を突いた。
「……っ」
指が弾かれたように顔を上げると、そこには昨日と同じ、あの色っぽい「綺麗なおばさん」が立っていた。彼女は吸い付くような正確さで、指の正面へと潜り込んできた。満員電車の混雑を味方につけ、彼女の薄いブラウスが指の胸板にピタリと吸いつく。
彼女はやはり、今日も何も言わなかった。ただ、涼しげな目元で吊り革を見つめ、指のことなど眼中にないような振る舞いをしている。しかし、その体温は昨日よりも一段と高く感じられ、指の心臓は一瞬で昨日以上のスピードで跳ね上がった。
再び、あの地獄のような、そして甘美な時間が始まろうとしていた。彼女がわずかに身じろぎした瞬間、抱えられたバッグが、待っていたと言わんばかりに指の膨らみに触れた。
二日目の密着が始まった矢先、彼女は流れるような動作でくるりと身を翻し、指に背を向けた。
それはあまりに突然の拒絶のようでいて、実際には昨日よりもさらに残酷な誘惑の始まりだった。正面を向いていたときとは違い、今度は彼女の豊かな曲線を描く腰回りと、タイトスカートに包まれた柔らかなお尻が、指の正面にぴったりと押し付けられる形になった。
指は思わず息を止めた。背を向けたことで、彼女のうなじから漂う香水の香りが、よりダイレクトに彼の理性をかき乱す。後れ毛が揺れるたびに、彼女の白い肌が露わになり、指はその美しさに目を奪われた。
彼女は相変わらず、自分から積極的に触れてくることはない。しかし、背後を向いた彼女の体は、電車の小刻みな振動を吸収するたびに、指の膨らみに対して、より深く、より密接に沈み込んでくる。正面同士のときよりもさらに生々しい肉の感触が、ズボンの生地越しに伝わってきた。
彼女の手は、前でバッグを抱えたままだ。そのバッグを持つ拳が、彼女の腰と指の体の間に挟み込まれるような形になり、彼女が呼吸をするたびに、その拳が指の「そこ」をぐりぐりと、心臓の鼓動に合わせて圧迫した。
彼女は後ろを向いているため、指からは彼女の表情を窺い知ることはできない。ただ、目の前にある彼女の背中が、わずかに熱を帯びて小刻みに震えているような気がした。彼女もまた、この背後からの密かな接触に、何かを感じているのだろうか。
指は、目の前に広がる彼女の背中のラインに圧倒されながら、昨日以上に激しい疼きに耐えていた。逃げようのない至近距離で、彼女の体温が波のように押し寄せ、十八歳の少年の頭の中を真っ白に染め上げていく。
電車の揺れは、残酷なほど正確に二人の肉体を擦り合わせた。彼女の腰の位置は、指の腰骨のあたりにまで深く沈み込んでいる。逃げ場のない満員電車の圧力によって、指の昂ぶった熱い膨らみは、彼女の腰骨のあたりに、ごつごつと硬い感触として突き当たっていた。
指は羞恥心で目の前が暗くなるような思いだった。十八歳の瑞々しい欲望が隠しようもなく、彼女の背面に一点で集中している。彼女のタイトスカートの生地を通して、その硬い突起が彼女の身体に深く食い込んでいるのが自分でも分かった。
しかし、彼女は逃げる素振りを一切見せなかった。それどころか、彼女は電車の微細な振動を利用して、その腰骨のあたりを、指の硬い膨らみに対してゆっくりと押し付け、円を描くように微かに動かした。直接手で触れられるよりもずっと生々しく、骨と骨が、皮一枚を隔てて対話しているかのような感覚だった。
彼女の背中越しに、その密やかな快楽に耐えているような、微かな緊張が伝わってくる。指は、自分の腰が勝手に彼女を求めて震えるのを止めることができなかった。腰骨に当たるたびに火花が散り、脳の回路が焼き切れてしまいそうになる。
彼女のバッグを持つ手は依然として体の前にあるが、その指先がわずかに力んでいるのが、背中のラインの強張りに表れていた。彼女は、背後から自分を貫かんばかりに押し当ててくる少年の未熟な熱を、全身で受け止めている。
指は限界だった。自分の腰骨に当たる彼女の腰の感触、その重み、そして微かな摩擦。すべてが昨日より濃厚で、逃げ場のない密室の狂気となって彼を支配していた。
電車がトンネルに入り、走行音が一段と高く響き渡った。密閉された空間で、指の鼓動は自分でも恐怖を感じるほど速まっていた。彼女の腰骨に押し当てられた硬い熱は、もう隠し通せるレベルを超え、布地を突き破らんばかりに張り詰めていた。
その時だった。彼女がふうっと深く息を吐き出し、吊り革を掴んだまま、凝り固まった体をほぐすかのようにふわりと背伸びをした。
そのわずかな体の浮き上がりに合わせて、彼女の重心が変化した。指の昂ぶりは、まるで誘い込まれるように、彼女の豊かなお尻の曲線が描く深い「切れ目」へと滑り込んだ。
「……っ!」
指は肺の中の空気をすべて失ったかのように絶句した。
背伸びをした彼女が、ゆっくりと踵を下ろしていく。その自重によって、指の膨らみは彼女の肉の間に、逃げ場のない力強さで挟み込まれた。タイトスカートの生地を介して、彼女の体温が全方位から彼を包み込む。それは点ではなく、柔らかな面と面による、逃げようのない圧搾だった。
彼女はそのまま、何事もなかったかのように背筋を伸ばして立っている。しかし、お尻の間に挟まれた「彼」は、彼女が呼吸するたびに、あるいは電車が小刻みに跳ねるたびに、その肉の抱擁によって執拗な摩擦を受けた。彼女がわずかに足の位置をずらせば、切れ目はさらに深く、指の最も敏感な部分を締め付け、左右に揺さぶる。
触ってこない、というルールがこれほどまでにもどかしく、そして官能的であるとは。指の視界は火花が散ったように白濁し、握りしめた拳は震え、爪が手のひらに食い込んでいた。
彼女は依然として背を向けたままだ。だが、そのうなじは心なしか赤らみ、規則正しく上下する肩の動きが、彼女もまたこの異常な密着の中で、深い快感の渦に飲み込まれていることを教えていた。
彼女がゆっくりと背伸びをやめ、踵を床に下ろしていくと同時に、お尻の間の締め付けはさらに密度を増した。指はその圧倒的な肉の質量に抗うことができず、吸い寄せられるように、彼女の体の動きに合わせて自分の腰を深く、沈み込ませるように曲げた。
それは、彼女の曲線に自分のすべてを適合させるための、本能的な調整だった。
指が腰を曲げ、上体をわずかに前傾させたことで、挟み込まれた熱い膨らみは、彼女の体の最も深い場所へとさらに強く、深く押し当てられた。彼女の腰のくぼみに、指の腰がぴったりとパズルのピースのようにはまり込む。お互いの境界線が曖昧になるほどの密着に、指の理性を繋ぎ止めていた細い糸が、ぷつりと音を立てて切れた。
彼女は相変わらず背を向けたままだが、指が合わせて腰を曲げた瞬間、彼女の背中がびくりと震えたのを彼は見逃さなかった。彼女の指先がつり革を握りしめ、白くなるほど力が入っている。彼女もまた、この逃げ場のない圧搾と、少年の熱い追従に、声を押し殺して耐えているのだ。
電車が駅の手前で大きくブレーキをかける。その慣動を利用して、指はさらに深く、逃がさないように彼女の肉の間に自分を埋め込んだ。彼女の柔軟な筋肉が、彼の熱を包み込み、電車の振動に合わせて微かに、けれど確実な摩擦を繰り返す。
指の耳元には、自分の激しい鼓動と、すぐ目の前にある彼女のうなじから漏れる、熱く湿った吐息の音だけが響いていた。触れ合っているのは腰から下だけだというのに、全身の血液がその一点に集まり、沸騰していく。指はもう、自分が電車に乗っていることさえ忘れ、ただ目の前の、この熟れた果実のような感触にすべてを委ねていた。
それは、端から見れば満員電車の不可抗力による密着に過ぎなかったかもしれない。しかし、その実態は、あまりにも露骨で背徳的な「体制」そのものだった。
指が彼女の動きに合わせ、逃げるどころか追いかけるように腰を深く曲げたことで、二人の肉体は完璧な角度で噛み合ってしまった。彼女の突き出されたお尻の曲線に、指の下腹部が深く、深く沈み込む。それは客観的に見れば、服を隔ててはいるものの、背後から彼女を貫いているのと何ら変わらない姿勢だった。
電車の激しい揺れが、その擬似的な結合をさらに深化させる。車体がガタンと跳ねるたび、指の硬い膨らみは彼女の肉の奥深くへと突き立てられ、彼女の腰はその衝撃を丸ごと飲み込むように、しなやかに指を受け止めた。彼女のタイトスカートの生地が、二人の熱によって湿り気を帯び、皮膚同士が直接触れ合っているかのような生々しい摩擦が、指の脳髄を直接愛撫する。
彼女はつり革を掴む両手にぐっと力を込め、上体をわずかに反らせた。その動作によって、彼女の「切れ目」はさらに強調され、指の熱をより一層強く、逃がさないように締め上げる。
指はもう、自分がどこにいるのか分からなくなっていた。目の前にあるのは、真っ白な彼女のうなじと、そこから立ち上る甘く、毒々しいまでの女の香りだけだ。彼女が身じろぎし、お尻をわずかに左右に振るたびに、挿入されているかのような錯覚は増幅され、指の喉からは「くっ……」と、押し殺した吐息が漏れた。
触れ合っている部分は火を噴くほどに熱い。彼女は決して振り返らず、声も出さない。しかし、その背中が刻む激しい鼓動は、指の胸板を通してダイレクトに伝わり、彼女もまた、この極限の体制の中で絶頂に近い淵を歩いていることを証明していた。
電車の速度が落ち、目的の駅名が車内にアナウンスされた。しかし、指の意識は混濁し、現実の世界との繋がりは、目の前にある彼女の背中と、腰を深く曲げて密着させた下半身の熱い結合にしか存在していなかった。
駅に到着する直前、電車が最後の下突きのような大きな揺れを見せた。その衝撃で、指の昂ぶりは彼女の肉の間に一段と深く、暴力的なほど強く押し込まれた。指は、自分の熱い何かが限界を迎え、今にも弾け飛んでしまいそうな感覚に襲われた。十八歳の瑞々しい衝動は、服の重なりなど無視して、彼女の体温を求めて叫んでいた。
プシューという音とともにドアが開き、人々の波が動き出す。
彼女は、それまで頑なに変えなかった姿勢をようやく解き、つり革から手を離した。そして、絡み合っていた腰をゆっくりと引き剥がすように、一歩前へ踏み出した。指の体から、あれほどまで濃厚だった彼女の肉の重みが消え、代わりに冬の終わりの冷たい空気が、汗ばんだズボンの上を通り過ぎた。
彼女はホームへ降りる客の流れに乗り、流れるような動作でドアへと向かった。その際、彼女は一度だけ、肩越しに振り返った。
昨日と同じ、涼しげな、それでいて全てを見透かしたような美しい瞳。彼女は声を出さず、ただ唇の動きだけで「またね」と形作ったように見えた。指は痺れた足でホームに降り立ったが、立っているのが精一杯だった。
彼女の姿は、改札へ向かう雑踏の中に、揺れるタイトスカートの裾とともに消えていった。
指の腰には、まだ彼女の腰骨の硬さと、お尻の柔らかい感触が、火傷のような熱を持って残っていた。彼は震える手で壁を伝いながら、昨日と同じように、けれど昨日よりもずっと足取り重く、駅のトイレへと向かった。十八歳の指にとって、この電車での出来事は、単なるハプニングではなく、逃れられない甘美な呪いとなって刻み込まれたのだった。
ホームの喧騒の中、指はふらつく足取りでトイレを目指していた。頭の中は彼女の残像で埋め尽くされ、下腹部の熱は鎮まるどころか、歩く振動さえも刺激に変わるほど張り詰めていた。
その時だった。
背後から伸びてきた白く細い指先が、指の腕を確かな力で掴んだ。驚いて振り向く間もなく、鼻腔を突いたのはあの芳醇な香水の匂い。昨日から彼を狂わせ続けてきた、あの女性だった。
「……こっちよ」
彼女は短く、抗いがたい響きを含んだ声で囁いた。呆然とする指を、彼女は迷いのない足取りで導いていく。連れて行かれた先は、一般のトイレを通り過ぎた奥にある、重厚な扉の多目的トイレだった。
彼女は指を室内に招き入れると、背中でガチャンと鍵を閉めた。
密閉された空間。駅の喧騒は一瞬で遠のき、聞こえるのは自分の激しい鼓動と、彼女の衣擦れの音だけになった。彼女はゆっくりと指の方を向き、いたずらっぽく、それでいて酷く色っぽい笑みを浮かべた。
「電車の中、凄かったわね。あんなに硬くなって……ずっと私を突き刺してたじゃない」
彼女の手が、今度は迷うことなく指の胸元に置かれた。彼女の体温が、電車の中でのあのじらされたような熱とは違い、今は逃げ場のない現実として指に迫ってくる。十八歳の童貞である指にとって、この展開はもはやキャパシティを超えていた。
「名前、指って言うの?……あなたのその『指』で、私が満足できるか、試してみる?」
彼女はそう言いながら、指の震える手を、自分のスカートのウエスト部分へと導いた。
彼女の指先がベルトに触れ、金属音が響く。その決定的な瞬間に、指は恐怖にも似た衝撃で我に返った。彼は震える手で彼女の手を振り払い、無我夢中で扉を開けて逃げ出した。背後で彼女がどんな表情をしていたのか、確かめる余裕さえなかった。
数日間、指はあの電車に乗ることができなかった。彼女の残り香が、肌に焼き付いた腰の感触が、十八歳の彼をひどく混乱させていたからだ。
一週間が過ぎ、ようやく心拍数が落ち着き始めた頃。指は大学の大きな階段教室の最前列に座っていた。新学期の特別講義。重い扉が開き、教授と共に一人の女性が入ってきた。
指の心臓が、嫌な音を立てて跳ねた。
「本日の特別講師、外部からお招きした高木先生です」
教壇に立ったのは、あの「綺麗なおばさん」だった。電車の中のような艶めかしいブラウスではなく、端正な紺のスーツに身を包んでいる。けれど、まとめられた髪から覗く白い首筋や、知的な眼鏡の奥にある瞳は、間違いなくあの日、指の腰骨に自分の腰を押し当てていたあの女のものだった。
講義が始まっても、指は内容など一切頭に入らなかった。彼女の声がマイクを通して低く響くたび、ズボンの下が熱く疼き出す。
彼女は淡々と講義を進めていたが、中盤、ふと最前列に座る指と目が合った。彼女はほんの一瞬だけ言葉を止め、指だけに見えるような、酷く艶やかな笑みを唇に浮かべた。
「……そこの学生さん。一番前の、指くんだったかしら」
名簿も見ずに、彼女は指の名を呼んだ。教室中の視線が彼に集まる。彼女は教壇から身を乗り出すようにして、指の顔を覗き込んだ。スーツの襟元から、あの日と同じ、甘く重い香水の匂いがふわりと漂う。
「さっきから顔が赤いけれど、具合でも悪いの? それとも……何か、私に質問したいことでもある?」
彼女の瞳は、大勢の学生の前で、あの日電車の中で起きた「密事」を指に突きつけていた。逃げ場のない教室で、指は再び、彼女の掌の上で転がされようとしていた。
講義終了のチャイムが鳴り響き、学生たちが次々と教室を後にする中、指は椅子に縫い付けられたように動けずにいた。教壇で資料を片付ける彼女――高木講師は、最後の一人が扉を出たのを見計らって、ゆっくりと彼に歩み寄ってきた。
「指くん、今日の講義、ちっとも集中できていなかったわね」
彼女は指の机の端に腰をかけ、しなやかな足を組んだ。タイトスカートから覗くストッキングの膝が、指の腕にあと数センチという距離まで迫る。あの電車の中の、お尻の熱い感触がフラッシュバックし、指は喉を鳴らした。
「そんな不真面目な学生さんには、特別な補習が必要かしら。……私の研究室へ来なさい。場所、わかるわね?」
彼女は指の胸元に、細長い指先をツンと突き立てた。拒絶する言葉など見つかるはずもなく、指は吸い寄せられるように、彼女の後に続いて静かな廊下を歩いた。
研究室に入り、彼女が内側から鍵をかける音がカチリと響いた。室内には、電車の中よりもさらに濃い、あの甘い香りが充満している。
「さあ、始めましょうか」
高木は上着のスーツを脱ぎ、椅子に背を向けて座った。そして、机の上に両肘をつき、わずかにお尻を突き出すような格好で指を振り返った。
「電車の中では、随分と熱心に私の背中を観察していたものね。……でも、ここは教室じゃないから。もっと近くに来て、講義の内容を『復習』させてあげる」
彼女は指の手を取り、自分の腰へと導いた。
「この位置、覚えてる? あなたが私の腰骨に、あれほど必死に押し当てていた場所」
指の手のひらに、電車越しではない、スーツの薄い布地一枚を隔てた彼女の肉の弾力と熱が伝わる。主導権を完全に握った彼女は、指の震える手を、あの日彼が「はさまれた」場所へと、ゆっくりと、確実に誘導し始めた。
彼女は指の手を離すと、今度は自分からぐっと腰を落とし、机に突き出したお尻の「切れ目」を、指の股間へと正確に押し当ててきた。
「ああ……やっぱり。電車の中と同じね。ここに来るまでに、もうこんなに熱くなってる」
彼女は背を向けたまま、お尻をゆっくりと、左右に微かに揺らした。スーツの生地が、指の張り詰めた膨らみを執拗になぞる。電車の揺れという不可抗力がなくなった今、その動作は純粋に、彼を追い詰めるためだけの愛撫へと変わっていた。
指は、彼女の腰に置いた手に力を込めてしまう。十八歳の純潔な指先が、彼女の柔らかな肉を掴み、その厚みに沈み込む。
「指くん、あなたの名前の通り、その指をもっと上手に使いなさい。ただ握るだけじゃ、補習にならないわよ」
彼女はそう言いながら、片手で自分のスカートの裾を少しだけ引き上げた。露わになった太ももの裏側が、指の膝に直接触れる。彼女は、指の熱い突起を、お尻の肉の間でギリギリと締め上げるように、腰をさらに深く、そして強く押し付けてきた。
「……んっ」
指の口から、耐えきれない吐息が漏れた。密室の研究室で、彼女の熱い曲線に包み込まれ、指は意識が遠のくような感覚に陥る。彼女は決して指を向こうに行かせようとはせず、むしろ自分の体の一部として同化させるかのように、その「体制」を深めていった。
「いい? 私が動くのに合わせなさい。電車の中より、もっと深く、もっと強く……」
彼女が腰を円を描くように動かすたび、指の理性が音を立てて崩れていく。彼女の吐息が荒くなり、研究室の空気は、あの日以上の官能と、逃げ場のない熱気で満たされていった。
指の脳内で、何かがぷつりと切れる音がした。
十八年間、真面目という殻に閉じこもってきた彼だったが、執拗に繰り返される彼女の「指導」という名の蹂躙が、眠っていた本能を叩き起こしたのだ。
「……やりすぎですよ、先生」
指は低く掠れた声で呟くと、彼女の腰を掴んでいた両手に力を込め、逃がさないよう強引に自分の方へと引き寄せた。予想外の力強い抵抗に、高木は「あら……」と小さく声を漏らした。
指は彼女の動きに合わせるのをやめた。代わりに、自分から腰を突き出すようにして、彼女の肉の間に深く、激しく、自分の熱を叩きつけた。
「あ……っ、指くん……?」
高木の余裕めいた笑みが消え、驚きを含んだ吐息に変わる。指は構わず、彼女の細い腰を左右からガッチリと固定した。指先が彼女の柔らかな腹部に食い込み、男としての意地がその掌に宿る。
彼はあの日、電車の中で彼女にされたこと――あの断続的で焦れったい摩擦を、今度は自分のリズムで彼女に叩き返した。腰を曲げ、より深く、より密接に。彼女のお尻が指の下腹部を圧迫するのではなく、指が彼女の肉を押し分け、蹂躙するような強気な突き上げ。
「そんな……急に、どうしたの……」
高木は机に手をつき、上体をのけぞらせた。彼女の背中が指の胸板に激しく叩きつけられる。あんなに主導権を握っていたはずの彼女の呼吸が、今は指の攻勢によって乱され、翻弄されている。
指は彼女の耳元まで顔を寄せ、熱い吐息を吹きかけた。
「補習なんですよね。なら、最後まで付き合ってください」
彼はさらに腰の動きを速め、彼女の「切れ目」に対して、容赦のない摩擦を繰り返した。スーツの生地同士が擦れる生々しい音が、静かな研究室に響き渡る。高木の膝がガクガクと震え、彼女の指先が机の端を白くなるほど強く握りしめた。
立場は逆転していた。十八歳の未熟な衝動が、経験豊富な大人の女を、その圧倒的な熱量で飲み込もうとしていた。
指の猛烈な突き上げに、高木はしばらくの間、翻弄されるがままに声を漏らしていた。しかし、彼女が机を掴む指先にふっと力が戻ったかと思うと、彼女は鼻から短く、艶やかな吐息を吐き出した。
「ふふ……威勢がいいわね、指くん」
彼女は背中越しに首を回し、上目遣いで指を射抜いた。その瞳には、先ほどまでの驚きではなく、獲物を罠にかけた狩人のような、底知れない「大人の余裕」が湛えられていた。
彼女は指が掴んでいる自分の腰の上に、そっと自らの手を重ねた。そして、指の力を利用するようにして、より深く、より密着するように自分の腰を後ろへと突き戻した。
「でも、ただ闇雲にぶつけるだけじゃ、子供の遊びよ。……もっと、こうするの」
高木は指の動きを力でねじ伏せるのではなく、しなやかな身のこなしでその衝撃をすべて「いなし」始めた。彼女が腰をわずかに浮かせ、絶妙なタイミングで締め付けるように回転させると、指の昂ぶりは彼女の肉の深淵に絡め取られ、逃げ場を失う。
指の心臓がドクリと跳ねる。自分の攻勢が、いつの間にか彼女の意図するリズムに書き換えられている。彼女のお尻は、指が攻めれば攻めるほど、それを包み込み、より甘く、より残酷な摩擦へと変えて返してきた。
「あなたの鼓動、手のひらから伝わってくるわ。……ねえ、もう限界なんでしょ?」
彼女はわざとらしく腰の力を抜き、指の熱を一番深い場所で受け止めたまま静止した。動きたいのに動けない。焦らされた指が喘ぐのを見て、彼女は満足そうに目を細める。
「本当の『補習』は、ここからよ。私が許すまで、勝手に果てるなんて認めないわ」
彼女は指の手を自分のブラウスのボタンへと導いた。主導権という名の見えない手枷をはめられた指は、彼女が提示する深淵へと、さらに深く引きずり込まれていく。大人の女が持つ包容力という名の暴力に、十八歳の彼はただ、震える指先を委ねるしかなかった。
高木は、指の震える手を自分のブラウスのボタンへと添えさせたまま、自分からは一切動こうとしなかった。彼女は鏡のように磨かれた窓に映る、狼狽する指の顔を眺めながら、ゆっくりと、獲物を解体する料理人のような冷徹さと慈しみを持って囁いた。
「まずは、その行儀の悪い指先を教育してあげないとね」
彼女は背後を向いたまま、片手で指のベルトを器用に解き、スラックスのジッパーを押し下げた。布の壁が消え、露わになった指の熱い塊が、彼女のタイトスカートの滑らかな生地に直接押し付けられる。
「あら……こんなに熱くなって。まるで、今にもはち切れそうな果実みたい」
彼女はそう言いながら、椅子から腰を浮かせ、今度は自分のスカートのジッパーを下げた。重力に従って床に落ちる紺色の布地。ストッキング越しに露わになった彼女の曲線が、指の熱を剥き出しの状態で迎え入れる。
彼女は指の手を自分のブラウスの中に潜り込ませた。薄い下着越しに伝わる、驚くほど柔らかく、かつ芯のある弾力。指がその感触に言葉を失っている間に、彼女はお尻を後方へ突き出し、ストッキングの滑りを利用して、指の「そこ」を肉の間に完璧に挟み込んだ。
「動いちゃダメよ。私がいいって言うまで」
彼女はゆっくりと、まるでバターを溶かすように腰をくねらせ、指の熱をその肉の襞で捏ね回した。ストッキングの摩擦と、彼女の肌から滲み出る熱気が混ざり合い、指の脳髄は沸騰寸前の熱に侵される。
「指くん、あなたは今、私がどう調理しているか分かっている? ほら、力を抜いて。私に全部預けなさい」
彼女は指の喉仏を片手で優しくなぞりながら、もう一方の手で彼の指を一本ずつ、自分の熱い肌に深く沈めさせていく。逃げようとする本能を快楽で塗り潰し、十八歳の初心な身体を、彼女の好みの味へとじっくりと「下ごしらえ」していく。
指は、彼女の腰に顔を埋めるようにして、抗いがたい大人の芳香に理性を溶かしていった。
高木は、指の耳元で小さく、勝利を確信したような吐息を漏らした。彼女の動きは、もはや単なる愛撫を超え、一つの完璧な儀式へと昇華されていた。
「そう、いい子ね。そのまま、私の熱に溶けてしまいなさい」
彼女は机に両手をつき、腰をぐっと深く沈めると、ストッキングの摩擦を最大限に生かして、指の昂ぶりを執拗に絞り上げるように動かした。指の視界は白く染まり、彼女の背中の曲線が波打つたびに、全身の筋肉が激しく痙攣する。彼女は指が発する「あ、あぁ……」という掠れた吐息を、最高のご馳走でも味わうかのように耳で拾い、それをさらに煽るように腰の回転を速めた。
彼女の調理は、徹底して「焦らし」と「圧搾」を繰り返すものだった。絶頂の淵まで指を連れて行き、彼が耐えきれず腰を振ろうとすると、巧みな身のこなしでそれをいなし、再びじっくりと時間をかけて熱を溜め込ませる。
「逃がさないわよ。あなたの初めての味、私が一番美味しい状態で頂くんだから」
彼女は首を反らし、指の肩に自分の後頭部を預けた。彼女の乱れた髪が指の頬をなで、濃厚な香水の匂いと、彼女自身の肌が放つ熱い匂いが混ざり合う。指は、自分の「指」が、彼女の柔らかな腹部や腰に深く食い込んでいるのを感じたが、もはやそれを引き抜く力さえ残っていなかった。
やがて、彼女は最後の手順に移るかのように、指の腰を自分の両手で強く背後へと引き寄せた。
「さあ、指くん……。全部、私の中に置いていきなさい」
彼女がお尻の間に込める力を一段と強め、指の熱を押し潰さんばかりに密着させた瞬間、十八歳の少年の理性は完全に弾け飛んだ。指は彼女の豊かな腰にしがみつき、言葉にならない叫びを上げながら、彼女という名の深い海へと、自らのすべてを注ぎ込んでいった。
静まり返った研究室に、二人の荒い呼吸だけが響く。高木は指の胸に背中を預けたまま、満足げに目を細め、勝利の余韻を噛み締めるように微笑んだ。
全てを出し尽くしたはずだった。しかし、指の若さは高木の予想を遥かに上回っていた。
「あら……?」
高木は、自分を貫くように押し当てられたままの「それ」が、萎えるどころか、むしろ先ほどよりも硬度を増し、より一層熱く彼女の肉を押し広げていることに気づき、小さく目を見開いた。
通常なら、果てた後は急速に熱が引いていくはずだ。しかし、指のそれは彼女の狭い「切れ目」の間で、まるで意志を持っているかのように力強く脈打ち、その存在感を誇示し続けている。十八歳の溢れんばかりの生命力が、一度の絶頂では収まりきらず、彼女の体温を糧にしてさらに巨大化しているかのようだった。
「指くん……あなた、なんて子なの……」
高木の大人の余裕に、初めて本物の動揺が混じった。背後から突き刺さるようなその硬さは、もはや「学生への指導」という範疇を軽々と超え、一人の男としての、剥き出しの独占欲となって彼女を圧倒し始める。
指は、自分でも制御できない熱に突き動かされ、彼女の腰をさらに強く、指先が白くなるほどに掴み直した。彼女の肉に深く食い込む指の感触と、下半身で維持され続ける鋼のような硬さ。
「先生……まだ、終わってません」
指の声は、先ほどまでの震える少年のものではなかった。低く、野性味を帯びたその響きに、高木の背筋をゾクリとした震えが走る。
彼女が「調理」していたはずの獲物は、いつの間にか巨大な肉食獣へと変貌を遂げ、今度は彼女自身を飲み込もうとしていた。彼女は、自分の腰を再び割り込んできた指の圧倒的な熱量に、今度は抗う術を知らなかった。
指は、もはや彼女のリードを待つつもりはなかった。
彼は、自分の中に渦巻く制御不能な衝動のまま、高木の細い腰を強引に抱え上げた。驚きで声を上げようとする彼女を、散らかった研究室のデスクの上へと仰向けに押し倒す。
「あ……っ、指くん、ちょっと……!」
先ほどまでの余裕はどこへやら、高木は乱れた髪をデスクに散らし、困惑と期待が入り混じった瞳で彼を見上げた。しかし、指はその制止を無視するように、彼女の膝を左右に割り、その間へと力強く割り込んだ。
今度は服越しではない。
彼は、先ほどよりもさらに熱く、猛々しく反り返った自分自身を、彼女の湿り気を帯びた深淵へと一気に突き立てた。
「っ……!!」
高木の口から、言葉にならない悲鳴のような吐息が漏れる。背後からの摩擦とは比較にならないほどの密度と、剥き出しの肉がぶつかり合う生々しい衝撃。十八歳の若く猛烈なエネルギーが、彼女の身体の奥深く、聖域とも言える場所を容赦なく貫き、蹂躙した。
指は、デスクを掴む彼女の両手を上から押さえつけ、逃げ場を完全に奪った。仰向けになった彼女の瞳には、先ほどまでの「講師」の面影はなく、ただ一人の男の熱に当てられ、翻弄される一人の「女」の姿しかなかった。
「先生……これが、僕の本当の質問です」
指は、腰を深く、そして重く叩きつける。デスクがガタガタと音を立て、彼女の身体がその衝撃で跳ねるたび、二人の結合はさらに密接に、さらに逃げ場のないものとなっていく。
主導権は完全に指へと移っていた。彼は、彼女が自分に教え込もうとした「テクニック」など全てを野蛮に踏み潰し、ただ圧倒的な質量と、若さゆえの尽きることのない熱量で、彼女を絶頂の先へと引きずり込んでいった。
指の動きは、もはや「学生」のそれではなく、飢えた獣の咆哮にも似た激しさを帯びていた。
デスクの上の書類が床に散らばり、ペン立てが倒れる音さえ、二人の肉体がぶつかり合う鈍い音に掻き消される。指は、彼女の柔らかな内腿をさらに左右へ押し広げると、自身の熱をその最奥へと叩き込み続けた。
「あ、ぁあぁ……っ! 指くん、待って……そんな、強すぎ……っ!」
高木はのけぞり、首筋を真っ白に浮かび上がらせて喘いだ。あの日、電車の中で彼女が仕掛けた「じらし」の報復であるかのように、指は一切の容赦を捨てていた。
一突きごとに、彼女の身体がデスクの上で大きく揺れる。指が腰を叩きつけるたび、彼女の指先は彼の背中に深く食い込み、爪が皮膚を裂かんばかりに立てられた。しかし、その痛みがさらに指を昂ぶらせ、彼の突き込みはより深く、より暴力的になっていく。
「先生……、もっと……声、出して……」
指は、汗に濡れた彼女の耳元で低く命じた。もはや教育者としての威厳は欠片も残っていない。高木の瞳は焦点が定まらず、絶頂の波が絶え間なく押し寄せるたびに、彼女の喉からは掠れた、艶めかしい悲鳴が漏れ続ける。
彼女が教えた「大人の余裕」は、指の若く、猛烈なピストン運動によって粉々に砕け散った。彼女は今、自分よりも一回り以上も若い少年の熱い質量によって、文字通り「貫かれ、支配されている」という事実に、かつてない快感の深淵を見出していた。
指の猛攻は止まらない。一度果ててなお増し続けるその硬度は、彼女の肉壁を執拗に抉り、熱く膨らんだ先端が、彼女の身体の最も敏感な場所に幾度となく衝突する。
「あ、ぁっ……く、くる……っ! 指くん、もう、だめ……っ!!」
高木が腰を激しく震わせ、弓なりに身体を反らした瞬間、指もまた、彼女の奥深くへ自分を埋めるようにして、最後の一突きを重く、深く沈めきった。
研究室に響くのは、嵐が過ぎ去った後のような、二人の重く、熱い呼吸の音だけだった。
デスクの上で横たわる高木先生は、まさに「息絶え絶え」という言葉が相応しかった。整えられていたはずの髪は乱れ、瞳は潤み、その白い肌は紅潮しきって、先ほどまでの知的で冷静な講師の面影はどこにもない。彼女は、指の若く凄まじいエネルギーに文字通り完敗し、抜け殻のようになっていた。
しかし、彼女を支える指の「それ」は、二度の絶頂を経てもなお、萎えるどころか鉄のような硬さを維持したまま、彼女の内側に熱く居座っていた。
「……うそ、でしょ……?」
高木は震える声で、信じられないものを見るような目を指に向けた。十八歳の底知れないスタミナは、大人の女の常識を遥かに超越していた。
指は、彼女の腰を優しく、けれど拒絶を許さない力強さで抱き起こした。そして、呆然とする彼女を自分の体の上に跨がらせるようにして、正面から向き合わせた。
「先生……。今度は先生が、上に乗って。……好きに、動いてください」
指がそう告げると、高木の背中にゾクリとした戦慄が走った。命令しているのは指なのに、その言葉は彼女への「献上」のようでもあり、同時に逃げ場を奪う「宣告」のようでもあった。
高木は、自分を内側から突き上げる熱い質量に、再び身体が熱くなるのを感じた。彼女は、指の肩に両手を置き、自らの重みをゆっくりと「それ」へと預けていく。
「……あなた、本当に……とんでもない子ね」
彼女は力なく笑いながらも、その瞳に再び女としての欲望が宿った。彼女は、指の若く逞しい胸板に指先を這わせ、腰をゆっくりと、今度は自分の意思で上下に動かし始めた。
「いいわ……。あなたのその、尽きることのない熱……私が、全部飲み干してあげる」
立場を逆転させたはずの彼女だったが、その腰の動きはもはや「教育」ではなく、一人の男の熱に溺れるための、必死な「懇願」に似ていた。指は彼女の腰を支えながら、下から突き上げるように応じ、研究室の静寂は再び、甘く濃厚な「放課後の補習」の音で塗り潰されていった。
高木にとって、それはもはや「快感」という言葉で片付けられるものではなかった。
指の上に跨り、自らの意志で腰を沈めた瞬間、彼女を貫いたのは、これまでの二回とは明らかに質の違う、暴力的なまでの多幸感だった。
一度目と二度目の交わりを経て、彼女の身体は指の太さと熱、そしてそのリズムに完全に「調教」されていた。受け入れる側の肉壁は、彼を迎え入れるために最大限に柔らかく、かつ敏感にほぐれきり、指の「それ」がわずかに動くたびに、脳髄を直接かき乱すような電撃が走る。
「あ……あぁっ! 指くん……これ、すご……っ!」
彼女は指の肩に縋り付き、首筋を真っ赤に染めて絶叫した。 三回目。精根尽き果てるかと思われた指のそれは、彼女の絶頂の余韻を糧にするように、さらに太く、より奥深くへと到達していた。彼女が自重で腰を落とすたびに、逃げ場のない熱が彼女の最も深い場所を執拗に突き上げ、彼女の理性を一枚ずつ剥ぎ取っていく。
指は彼女の腰を両手でしっかりと支え、下から彼女の動きを促すように突き上げた。 「先生……僕に全部、預けて」 その言葉が、彼女の最後の防波堤を壊した。
高木の腰は、自分の意志とは無関係に激しく、狂ったように上下し始める。先ほどまでの「大人の指導」など微塵も感じさせない、ただ本能のままに熱を求める女の姿。彼女の視界は真っ白に弾け、指の胸に流れる汗の匂いと、自分の身体が内側から作り替わっていくような感覚に、魂までが震えていた。
今、彼女が味わっているのは、単なる肉体の結合ではない。十八歳の剥き出しの生命力によって、自分の存在そのものが塗り潰されていく、完敗という名の至福だった。
「ひ、指くんっ! もう……私、壊れちゃう……っ!!」
彼女が絶頂の極みに達し、指の身体を強く締め上げたその瞬間、指もまた、三度目の、そしてこれまでで最も熱い閃光を、彼女の奥深くに放った。
三度目の激しい余韻が引き、静まり返った研究室に時計の針の音だけが戻ってきた。
高木先生は、指の胸に顔を埋めたまま、しばらくの間動けずにいた。その肩は小さく震え、先ほどまで彼女を支配していた情熱の代わりに、心地よい脱力感と、ある種の覚悟が彼女を包み込んでいた。
やがて、彼女はゆっくりと体を起こした。乱れた髪をかき上げ、床に散らばったブラウスを拾い上げると、背中を向けたまま、静かに、けれど芯のある声で口を開いた。
「……指くん。ここを出たら、私たちはまた『先生と学生』よ」
その言葉に、指は一瞬だけ息を呑んだ。しかし、彼女が振り返ったその表情には、あの日電車で出会った時の「綺麗なおばさん」の余裕と、教壇に立っていた「高木講師」の知性が戻っていた。
「でもね」
彼女は指の元へ歩み寄り、まだネクタイを締めていない彼の襟元を整えた。その指先はわずかに震えていたが、彼女の瞳はまっすぐに指を見つめていた。
「今日の『補習』は、まだ終わっていないわ。私の講義は、来週も、その次もあるのよ。……不真面目な学生さんは、また指導が必要になるかもしれないわね?」
彼女はいたずらっぽく微笑み、指の頬を優しく撫でた。それは「先生」としての厳しさと、「女」としての底知れない独占欲が混ざり合った、最高に甘美な誘惑だった。
指は、彼女の言葉の裏にある意味を理解し、力強く頷いた。
「はい、先生。また来週……楽しみにしてます」
二人は、何事もなかったかのように身なりを整え、時間差で研究室を後にした。
翌週の講義。最前列に座る指と、教壇に立つ高木先生。彼女は凛とした声で講義を進めていたが、ふとした瞬間に、指とだけ目が合った。彼女はほんの一瞬、誰にも気づかれないほどの速さで、あの多目的トイレで見せたような、艶やかな微笑を浮かべた。
十八歳の指にとって、大学はもはや単なる学びの場ではなく、毎週繰り返される、秘密の「教育」の舞台へと変わっていた。
完