第一章:黒い油と、白いワンピース

指の家は、常に誰かの足の臭いや、男たちの怒鳴り声が絶えない公務員宿舎の一室。三兄弟の真ん中という立ち位置は、兄からはパシリに使われ、弟にはナメられる損な役回りです。 「あー、どっかに可愛い子落ちてねーかな……」 そんな妄想をしながら、指は趣味の工具セットをカバンに詰め、家を飛び出しました。


少し自転車を走らせると、景色は一変します。指の住む地域とは違う、静寂が支配する高台の高級住宅街。そこには、指が普段関わることのない「別世界」が広がっていました。 そこで彼は、一台の自転車の横で立ち尽くす、えまを見つけます。


えまは、いかにもお嬢様らしい上品な白いワンピースを着ていました。しかし、彼女の乗るイタリア製の高級自転車は、無残にもチェーンが内側に脱落し、後輪がロックしてしまっています。 「どうしたの? 困ってるなら見るけど」 指が声をかけると、えまはすがるような瞳で彼を見つめます。 「あ、あの……急にガチャンってなって、動かなくなっちゃって……」


指は躊躇なく、その場に膝をつきました。 「これ、無理に回そうとするとフレーム傷つけるよ。ちょっと貸して」 彼はカバンから慣れた手つきで工具を取り出し、狭い隙間に指を差し込みます。ギアの構造、チェーンのテンション。彼にとって、機械との対話は自家発電と同じくらい慣れ親しんだものでした。 「あ、手……! 汚れちゃうよ!」 えまの声が聞こえますが、指は気にしません。 「いいよ、これくらい」 グイと指先に力を込めた瞬間、ガシャンという小気味よい音と共に、チェーンが元の位置に収まりました。


立ち上がった指の右手は、高級自転車のグリスと黒い油でベッタリと汚れていました。爪の間まで真っ黒です。 「直ったよ。ほら、もう大丈夫」 「すごい……! 本当に魔法みたい……」 えまは、自分のために手を汚してくれた指に、感動を隠せません。 「あ、でも、その手……! すぐそこに私の家があるから、洗っていって。絶対、そのままじゃ帰れないよ!」


こうして指は、えまに半ば強引に手を引かれ、あの巨大な門をくぐることになります。 玄関を開けると、そこには洗練された香水の香りと、上品な笑顔を浮かべたえまのお母さんが待っていました。

「まあ、えま。その方は?」 「お母さん、自転車が壊れたのを助けてくれたの。指くんっていうんだよ!」


えまに導かれるまま、指は場違いなほど広い洗面所にいた。 大理石のカウンターに、磨き上げられた蛇口。男三人兄弟のむさ苦しい実家の洗面所とは、匂いも温度もまるで違う。

「あら、本当に真っ黒ね。えま、タオルを持ってきてあげて」

お母さんが、えまに指示を出す。えまがパタパタと廊下へ走っていく音が聞こえ、洗面所には指とお母さんの二人きりになった。

「指くん、だっけ? 素敵な名前ね。……貸して」

お母さんが、指の右手を取った。 その手は、驚くほど白くて、柔らかかった。男兄弟と取っ組み合いをしてきた指の節くれだった手とは、同じ人間の部位とは思えない。

お母さんは泡立てた石鹸を指の手に乗せ、指先から手のひらへと、ゆっくりと馴染ませていく。 「ここは、こうして……」 お母さんの細い指が、指の指の間に入り込み、絡み合うように動く。それはただの洗浄のはずなのに、自家発電でしか「女」を知らなかった指には、あまりに官能的な感触だった。

ふわりと、お母さんの首筋から石鹸ではない、もっと甘くて重い香水の匂いが鼻を突く。 伏せられた彼女の睫毛、白いブラウスの胸元が、指のすぐ目の前にある。

(やばい……)

意識すればするほど、指の身体は正直に反応した。 今まで妄想の中でしか触れられなかった「女」という存在が、今、自分の手を包み込んでいる。 スラックスの股間が、これまでにないほど熱く、猛烈に膨らんでいく。生地が突っ張り、隠しようのない質量が形を作ってしまった。

お母さんの手が、一瞬、ぴたりと止まった。 彼女の視線が、自然と指の腰元へと落ちる。

「…………」

沈黙が流れた。 お母さんの頬が、ほんのりと朱に染まる。彼女は指の「それ」を確実に見た。 だが、彼女は悲鳴を上げることも、拒絶することもしなかった。ただ、少しだけ潤んだ瞳で指を一瞬だけ見上げると、何事もなかったかのように再び手を動かし始めた。

「……若いのね」

小さく、吐息のような声でそう呟いたお母さんの声は、どこか艶っぽく震えていた。

「ただいまー! 指くん、タオル持ってきたよ!」

えまが戻ってきた足音で、魔法が解けたように二人の身体が離れる。 指は顔を真っ赤にしながら、逃げるように手をすすぎ、えまからタオルを受け取った。

お母さんは背を向け、鏡越しに自分の顔を整えている。 その指先が、わずかに震えていることを、器用な指先を持つ指だけは見逃さなかった。


第二章:黄金の檻の晩餐
豪華なシャンデリアが、磨き上げられた大理石のテーブルを冷たく照らしていた。 指(ゆび)の家なら、今頃は男三兄弟が唐揚げの最後の一つを奪い合い、父親がテレビのニュースに怒鳴っている時間だ。しかし、この邸宅のダイニングに響くのは、銀のフォークが皿に触れるかすかな金属音だけだった。

「お口に合うかしら、指くん」

お母さんが、静かに赤ワインを口に含んでから微笑んだ。その所作の一つひとつが、指の知る「母親」という存在からはかけ離れていて、まるで映画のワンシーンを見ているような錯覚に陥る。

「あ、はい。……めちゃくちゃ、美味いです。こんなの食べたことなくて」

指は緊張で喉を鳴らしながら、慣れない手つきで肉を切り分けた。洗面所であのお母さんの柔らかな手に触れられてから、指先の感覚がおかしい。ナイフを握る手にまで、彼女の石鹸の残り香が染み付いているような気がして、さっきから股間の圧迫感が一向に収まってくれなかった。

「ふふ、嬉しいわ。パパがいたら、もっと賑やかだったんでしょうけど」

えまが、少しだけ唇を尖らせてサラダを突いた。

「パパはいつも海外だもんね。ロンドンだっけ? 今度はニューヨークだっけ? 帰ってくるのは三ヶ月に一度、数日だけ。……指くんの家みたいに、男の人がいつもいるのって、なんだか想像つかないな」

「まあ、うちはうるさいだけですよ。親父も公務員で固いし……」

「素敵じゃない、堅実で」

お母さんが、ふう、と重い溜息をついた。その溜息は、高い天井に吸い込まれて消えていく。

「うちは主人からカードと生活費だけは送られてくるけれど、家の中で何かが壊れても、誰も直してくれないの。業者を呼べば済むことかもしれないけれど……今日、あなたがチェーンを直してくれたって聞いた時、なんだか胸が熱くなったわ。この家に欠けている『力強さ』を分けてもらったみたいで」

お母さんの視線が、テーブルを越えて指の手に絡みつく。それは、子供を見る母親の目ではなかった。何年も放置された高級な調度品が、初めて触れてくれる「熱」を求めているような、湿った色を帯びていた。

「指くん、また遊びに来てくれる? えま、一人っ子だから。お兄さんができたみたいで、きっと喜ぶわ」

「……ええ、僕でよければ」

指は、隣で頬を赤らめているえまの視線と、正面で潤んだ瞳を向けてくるお母さんの視線の、両方に挟まれた。 海外にいるというこの家の主(あるじ)。その不在が作り出した静かな「空洞」に、自分の指先がするりと入り込んでいくような、奇妙な背徳感と高揚感が、指の背中を駆け抜けていった。

食事を終え、お母さんが「デザートの準備をするわね」とキッチンへ消えると、えまが指の袖を小さく引きました。

「ねえ、指くん。……私の部屋、見に来る?」

「いいの……?」

指が戸惑いながらも尋ねると、えまは悪戯が見つかった子供のような顔をして、指先を唇に当てた。

「お母さん、デザートのフルーツを切る時はいつも丁寧だから、時間がかかるの。……今のうちに」

えまに手首を引かれ、指は柔らかな絨毯が敷かれた階段を上った。二階の一番奥、白いドアを開けると、そこには女の子特有の甘い香りが漂う「えまの部屋」があった。

「あ、散らかってるかも……」

えまは照れくさそうに笑いながら、ベッドの上に置かれた大きなぬいぐるみを脇に退けた。指は、自分の部屋にある男臭い空気とは対照的な、柔らかくて清潔な空間に、立っているだけで目眩がしそうだった。

「指くん、座って」

促されるまま、指はベッドの端に腰を下ろした。沈み込むような感触が、これから起こることを予感させるようで、指の鼓動はさらに速まっていく。

「……指くんの手、見せて?」

えまが指の隣に座り、膝の上にある彼の手をそっと覗き込んだ。

「さっきお母さんに洗ってもらってたけど、まだ少し、黒いところが残ってるね……」

彼女は、指の節くれだった右手を、自分の両手で包み込んだ。洗面所でお母さんに触れられた時の、しっとりとした大人の手の感触とは違う、えまの手は少し冷たくて、壊れそうなほど華奢だった。

「ごめんね、私の自転車のせいで、こんなに汚させちゃって……」

「いや、別に……。俺、こういうの嫌いじゃないから」

指がぶっきらぼうに答えると、えまは顔を上げ、じっと彼を見つめた。 カーテンを閉め切った薄暗い部屋の中で、えまの瞳は濡れたように輝いている。

「指くんって、不思議。……パパとも、学校の男子とも違う。なんだか、触れられると、すごくドキドキするの」

えまの顔が、ゆっくりと近づいてくる。 指は逃げることもできず、ただ彼女の肩に手を置いた。指先を通して、彼女の華奢な骨格と、小刻みな震えが伝わってくる。

「えま……」

名前を呼んだ瞬間、えまの唇が指のそれに重なった。 それは、羽が触れるような、初々しくて拙いキスだった。 しかし、自家発電でしか女を知らなかった指の理性を吹き飛ばすには、それで十分すぎた。

「指くん……私、初めてなの。……でも、指くんがいい」

えまは、潤んだ瞳で指をまっすぐに見つめた。 指は、自分の「指」が震えていることに気づいた。 だが、その震えは恐怖ではない。この純粋な少女を自分の手で汚し、暴き、そして分かち合いたいという、男三兄弟の中で培われた本能的な飢えだった。

「……優しくするから」

指の手が、えまの白いブラウスのボタンに掛かった。 器用なはずの指先が、人生で初めての「本番」を前に、もどかしく動く。 階下からは、お母さんがフルーツの皮を剥く、微かなナイフの音が聞こえていた。

指の指先が、えまのブラウスの第一ボタンに触れた。 普段、機械の部品を扱う時はあんなに正確に動く指が、今はまるで初めて工具を手にした子供のように強張っている。薄い布地越しに伝わってくるえまの体温が、指の指先を、そして脳を痺れさせていた。

「……はずして、指くん」

えまの震える声に促され、指は一つ、また一つとボタンを穴から滑り出させていく。 最後の一つが外れ、白い生地が肩から滑り落ちた。そこには、レースをあしらった清楚な下着に包まれた、まだ幼さの残る、けれど眩しいほどに白い肌があった。

「綺麗だ……」

指の口から、本音が漏れた。 えまは恥ずかしそうに身を竦めたが、指がその華奢な肩に手を置くと、観念したように目を閉じた。 指は、吸い寄せられるようにその肌に触れた。指先が鎖骨のラインをなぞり、柔らかな膨らみへと滑り込んでいく。

「あ……っ、指、くん……」

えまの口から、漏れ出たことのないような甘い声がこぼれる。 指は、自分の名前に恥じぬよう、持てる全ての神経をその指先に集中させた。男兄弟との荒っぽい生活では決して触れることのできなかった、究極の柔らかさ。指が優しく、けれど確実にそこを愛撫するたび、えまの呼吸は浅くなり、その白い胸元が激しく上下する。

指のもう一方の手は、彼女のスカートのホックを外していた。 滑らかな絹のような太もも。膝の裏。そして、その奥にある聖域。 指がそこに触れた瞬間、えまの身体が大きく跳ねた。

「だめ……そこ、は……変な感じがする……っ」

「大丈夫だから。俺を信じて」

指は、えまの耳元で優しく囁きながら、指先の動きを止めなかった。 自家発電で培った知識と、持ち前の器用さ。 えまの身体は、指の愛撫に応えるように、みるみるうちに熱を帯び、蜜を溢れさせていく。清楚なお嬢様という殻が剥がれ落ち、一人の熱い「女」が指の手の中で形作られていく実感が、指の征服欲を激しく突き動かした。

指は、自らも衣服を脱ぎ捨て、えまの上に重なった。 初めて肌と肌が直接触れ合う感触。えまの柔らかな肌が、指の逞しい胸板に押し潰される。

第二章:未完の儀式と、忍び寄る「香り」
 指の指先は、えまの熱い場所を必死に探り当て、彼女を存分に濡らすところまでは完璧だった。えまもまた、指のリードに身を任せ、陶酔しきった瞳で彼を見上げていた。

「指くん……、いいよ」

その一言が合図だった。指は、昂ぶる衝動を抑えきれず、えまの身体に覆いかぶさる。 しかし、いざその時を迎えると、指の身体は言うことを聞かなかった。

「……っ」

あまりの緊張と、本物の女子が放つ圧倒的な熱量。 頭ではわかっているのに、肝心なところで指の「それ」は、期待に応えてくれない。 焦れば焦るほど、指先ばかりが空しく動き、肝心の熱情は行き場を失っていく。

「指くん……?」

えまが不安そうに、潤んだ瞳で覗き込んでくる。その無垢な視線が、指にとっては最大のプレッシャーとなった。 「ごめん、えま。……俺、なんだか……」 「……いいよ、大丈夫。ゆっくりで……」

えまは優しく指の背中に手を回したが、その時だった。 トントン、と部屋のドアが軽く叩かれた。

「えま? 指くん? デザートを持ってきたわよ。……入ってもいいかしら?」

「っ! お、お母さん!?」

二人は弾かれたように離れた。 指は慌てて自分のスラックスを履き直し、えまも震える手でブラウスのボタンを掛け直す。だが、指先が強張って、最後の一つがどうしても穴に入らない。

「あ、ちょっと待って……!」

えまの声も虚しく、ドアが静かに開いた。 そこには、銀のトレイにカットされた瑞々しい梨と巨峰を乗せたお母さんが立っていた。

「……あら」

お母さんは一歩部屋に踏み込んだところで、ぴたりと動きを止めた。 部屋の空気は、先ほどまでの清純な「女子高生の部屋」のものではなかった。 カーテンを閉め切った薄暗い室内。乱れたベッドのシーツ。そして何より、男と女が肌を合わせようとした時にだけ漂う、重苦しく甘い、汗と蜜が混じり合った独特の「あれ」の匂いが、密室に充満していた。

お母さんの視線が、まずは顔を真っ赤にして俯くえまに向き、次にシャツの裾がはみ出たまま立ち尽くす指へと移る。

「…………」

お母さんは何も言わず、ただ静かにトレイを机の上に置いた。 その際、彼女の鼻腔が微かに、しかし鋭く動く。 指は、自分が犯した「未遂の罪」を、彼女の鋭敏な嗅覚にすべて暴かれたことを悟った。

「指くん。……梨、冷たいうちに召し上がれ」

お母さんは指のすぐ横を通る際、あえて彼の身体に触れるほど近くを歩いた。 その瞬間、お母さんは指の股間に、まだ処理しきれていない「欲求の残滓」が不格好に膨らんでいるのを見逃さなかった。

「……えま、指くん。デザートを食べたら、リビングへ戻っていらっしゃい」

お母さんはドアに手をかけ、振り返らずに付け加えた。 「お部屋の空気が少し……淀んでいるから。窓を開けて、換気をしておきなさいね」

その声は冷ややかだったが、どこか艶を含んでいるようにも聞こえた。 お母さんが去った後、部屋に残されたのは、梨の清涼な香りと、それをかき消すことができない、生々しい男女の匂いだけだった。

えまとリビングに戻り、気まずい空気の中でデザートを口にした後、指は逃げるように帰宅の途につこうとしました。しかし、玄関で靴を履き替える指の背中に、お母さんの静かな声がかけられます。

「指くん、ちょっと待って。……えま、指くんを駅まで送る前に、少しだけ彼を貸してくれる? パソコンの調子が悪くて、どうしても今夜中に送りたいメールがあるの。指くんなら、こういうの得意でしょう?」

えまは「えー、お母さんズルい」と笑いながらも、素直にキッチンへ片付けに戻っていきました。 指はお母さんに促され、二階の主寝室の奥にある書斎へと導かれました。

第三章:熟れた果実の「教導」

 主寝室の重いドアが閉まると、そこはリビングとは全く別の、濃厚な大人の香りに包まれた空間でした。

「お母さん、パソコンの調子が悪いって……」

指が振り返ると、そこにはデスクに向かうどころか、ドアを背にして立ち、指を真っ直ぐに見つめるお母さんの姿がありました。彼女は眼鏡を外し、机の上に置くと、ゆっくりと指の方へ一歩踏み出しました。

「嘘よ。パソコンなんて、どこも悪くないわ」

お母さんの声は、先ほどリビングで聞いていたものより一段低く、艶を帯びていました。

「……あ、あの、じゃあ……」

「指くん。さっき、えまの部屋で何をしようとしていたか、私が気づかないとでも思ったのかしら?」

指は蛇に睨まれた蛙のように、硬直しました。お母さんは指のすぐ目の前で立ち止まり、その細く白い指を、指の胸元へ伸ばしました。

「お部屋の匂い……凄かったわよ。でも、あなたはまだ、何も成し遂げられていなかったわね。……ズボンのそこを見れば、わかるわ」

指は顔が火が出るほど熱くなりました。エリートの夫を持ち、何不自由なく暮らしているはずの清楚なお母さんから、そんな直接的な言葉が投げかけられるとは思ってもみなかったのです。

「えまはまだ子供よ。……あの子を傷つけずに、本当の悦びを教えるには、今のあなたじゃ足りないわ」

お母さんの手が、指のネクタイを優しく掴み、自分の方へと引き寄せました。

「指くん、あなたのその器用な『指』。……本当はどうやって使うべきか、私が教えてあげましょうか?」

お母さんの身体が、指に密着しました。ブラウス越しに伝わる、えまよりも柔らかく、そして熱を帯びた大人の女性の肉感。 お母さんは指の右手を取り、自分の潤んだ唇へと導きました。

「……まずは、ここから。あなたの指先を、私の身体で試してみなさい」

海外にいる夫、そして下の階にいる娘。 そのどちらも裏切るという圧倒的な背徳感が、指の「失敗した欲求」を猛烈な勢いで再燃させていきました。

お母さんとの「指導」という名の情事から数日が経ちました。指の日常は一変します。 学校にいても、部活をしていても、頭から離れるのはあの邸宅の、甘く重い空気と、お母さんの指先が教えてくれた禁断の感触ばかり。

そんなある日、学校の帰りに指のスマホが震えます。えまからではなく、お母さんからの直接のメッセージでした。

## 第四章:放課後の密約

 『指くん、えまは今日、部活の遠征で帰りが遅くなるの。……先日のパソコン、また少し様子を見てほしくて。一人で来られるかしら?』

心臓が跳ねました。それが「合図」であることは、今の指には痛いほど分かります。 指は誘われるまま、再びあの高台の邸宅へと向かいました。

インターホンを押すと、すぐに鍵が開く音がしました。出迎えたお母さんは、いつもの清楚なブラウス姿でしたが、ストッキングを履いていない素足にスリッパという、どこか隙のある装いでした。

「いらっしゃい、指くん。……待っていたわ」

お母さんはリビングへ通すこともせず、そのまま指の手を引いて、二階の寝室へと直行しました。ドアが閉まり、鍵がかかる音が静かな部屋に響きます。

「お母さん……あの……」

「ここでは、そんな風に呼ばなくていいの。……今はえまも、あの人もいない。私と、あなただけよ」

お母さんは指の制服のネクタイに指をかけ、ゆっくりと解いていきました。彼女の瞳は、数日前よりもさらに深い渇きを湛えています。

「指くん、あの日からずっと考えていたの。あなたのあの指先が、今度は私のどこを暴いてくれるのかしらって……」

お母さんは指をベッドに押し倒すようにして、自らその上に跨りました。清楚なスカートが捲れ上がり、露わになった太ももが指の腰を挟み込みます。

「今日は、前回よりもっと『詳しく』教えあいたいわ。……私を、一人の女として壊してみて? 海外のあの人にも、学校の男の子たちにもできないやり方で」

お母さんの誘惑は、前回よりも大胆で、そして執拗でした。彼女は指の器用な指先を、自らの肌のさらに奥、まだ誰にも触れさせていないような秘められた場所へと導きます。

「ああ……っ、そこよ、指くん。……すごい、なんて指をしてるの……」

指もお母さんのリードに応えるように、その指先を自在に操りました。えまとの初々しい触れ合いでは到底味わえない、大人の女性が快楽に震え、理性を失っていくその生々しい反応が、指の中の雄としての本能をさらに目覚めさせていきます。

清楚な仮面をかなぐり捨て、指の腕の中で乱れるお母さん。 その姿を見れば見るほど、指は自分がこの家の「本当の主」になったような錯覚に陥りました。

「ねえ、指くん。……これからも、えまがいない時間は、こうして私の面倒を見てくれる?」

お母さんは指の首筋に歯を立て、独占欲を剥き出しにしたような声で囁きました。 それは、母娘という二つの果実を同時に味わう、泥沼のような「親子丼」生活の本格的な始まりでした。

## 第五章:食卓の戦慄と、ポケットの重み
 
 その日の夕食は、お父さんの昇進が決まったとかで、いつも以上に豪華な顔ぶれでした。しかし、その「主役」である父親はやはり画面の向こう、ロンドンからのビデオ通話で参加しているだけ。広いダイニングには、指と、えまと、お母さんの三人だけが座っていました。

「指くん、これ食べて。お母さんが今日のために奮発したんだよ!」

えまが楽しそうに、指の皿にローストビーフを取り分けます。指は「ありがとう」と微笑み返しますが、その指先は、スラックスの右ポケットに押し込まれた「ある物」の感触に集中していました。

それは、つい一時間前、えまが帰宅する直前までお母さんが身に着けていた、冷めやらぬ熱を帯びたシルクの下着でした。 指がそれをポケットから取り出そうとすると、わずかに立ち上るお母さんの香水の匂いが、えまの鼻に届いてしまうのではないか……。そのスリルが、指の心臓を激しく打ち鳴らします。

「指くん、顔が赤いわよ? 少し暑いかしら」

正面に座るお母さんが、グラスを傾けながら優雅に微笑みました。その瞳は、指がポケットに入れている物の正体を知り尽くした、共犯者の色をしていました。

「あ、いえ……。ちょっと、この部屋、暖かいかなと思って」

指が誤魔化すように水を飲んだ、その時です。

テーブルの下で、何かが指の膝に触れました。 お母さんが、ヒールを脱いだ素足で、指の太ももをなぞり始めたのです。

「えま、パパにお顔見せてあげなさい。カメラのほうへ」

お母さんがえまの注意をスマホの画面へ逸らした隙に、その足先は大胆に股間へと這い上がってきました。 指は思わず身を固くしました。えまはすぐ隣で、「パパ、おめでとう!」と画面に向かって無邪気に手を振っています。そのすぐ数センチ横では、彼女の母親が、娘の恋人の欲望を足先で弄んでいるのです。

「……っ」

指はフォークを握る手に力を込めました。 ポケットの中にある背徳の証拠と、テーブルの下で繰り広げられる秘められた愛撫。 お母さんの足先は、指がポケットに隠した下着の上から、わざとそこを圧迫するように動きます。

「指くん、そんなに固くなって……。もっとリラックスして召し上がれ」

お母さんは涼しい顔で、えまの取り分けたサラダを口に運びます。 ビデオ通話越しに笑う父親の顔、無邪気なえまの横顔、そして自分を弄ぶお母さんの視線。 指は、この歪な「親子丼」という関係の中に、言いようのない全能感と、破滅的な快楽を感じずにはいられませんでした。

それは、雨の降る土曜日の夜のことでした。

海外出張中の父親が帰国できない代わりに、お母さんの「許可」を得て、指は初めてこの邸宅に泊まることになりました。えまは自分の部屋で指と並んで寝られることに、子供のように無邪気に喜んでいます。

## 最終章:雨の夜の共犯者

 深夜二時。えまの部屋は、雨音と加湿器の微かな動作音に包まれていました。 一つの大きなベッド。指の隣では、深い眠りに落ちたえまが規則正しい寝息を立てています。

(……やばいな、これ)

指は、すぐ横にいるえまの温もりに昂ぶりを感じながらも、あまりの緊張で目が冴えきっていました。その時、静かにドアが開く音がしました。

影が一つ、音もなくベッドに近づいてきます。 お母さんでした。彼女は薄いネグリジェ一枚を纏い、えまが起きないようにゆっくりと掛け布団をめくって、指の反対側の隣へと滑り込んできました。

「お、お母さん……?」

指が息を殺して囁くと、お母さんは指の唇に人差し指を立て、「しーっ」と微笑みました。

「えまは一度眠るとなかなか起きないわ。……でも、声を出しちゃダメよ?」

お母さんの熱い身体が、指の背中に密着します。 右側には、純粋な愛を向けてくれるえま。左側には、禁断の快楽を教えてくれたお母さん。 指は、人生で最も濃密で、最も恐ろしい「サンドイッチ」の状態に置かれました。

お母さんの手が、布団の中で指のパジャマの隙間から滑り込んできます。その指先は、数日前の「教導」で鍛えられた指を、より激しく、より執拗に愛撫し始めました。

「ん……っ」

指は声を漏らさないよう、枕に顔を埋めました。 すぐ隣でえまの寝返りの気配がするたび、指の背中には冷や汗が流れます。しかし、その恐怖が、指の感覚をこれまでにないほど鋭敏に研ぎ澄ませていきました。

すると突然、隣で寝ていたはずのえまが、指の腕をぎゅっと抱きしめてきました。

「……ゆび、くん……だいすき……」

寝言でした。しかし、その直後、えまはゆっくりと目を開けました。暗闇の中で、えまの視線が指と重なります。

「あれ、指くん……起きてたの?」

指は心臓が止まるかと思いました。布団の中では、今もお母さんの手が激しく動いているのです。 しかし、えまの視線は指の顔から下へ、布団の盛り上がりへと移りました。そこには、お母さんの白い腕がはっきりと見えていました。

「……お母さん?」

えまの声は、驚きよりも、どこか覚悟を決めたような、あるいは全てを知っていたかのような響きを帯びていました。

「えま、起きたのね。……指くんのこの『指先』、独り占めにするのはずるいわよ」

お母さんが布団の中から顔を出し、えまに向かって妖艶に微笑みました。 えまは一瞬だけ戸惑いを見せましたが、すぐにその顔が情熱的な色に染まりました。彼女は指の右手を自分の胸元へと引き寄せました。

「……そうだね。指くんは、私たちのものだもんね」

そこからは、指にとっての「天国」であり、逃げ場のない「監獄」でもありました。 清楚な仮面を脱ぎ捨てた母娘が、一人の少年を、その四肢から指先の一本一本に至るまで、徹底的に攻め立てます。

お母さんの熟練した愛撫と、えまの未熟ながらも一途な情熱。 二人の女性の香りと熱が混ざり合い、指は自分がバラバラに解体されていくような感覚に陥りました。

「ねえ、指くん。どっちが気持ちいいか、もっとその指で確かめて?」 「指くん、私の方も……もっと触って?」

雨音が激しさを増す中、邸宅の一室で繰り広げられる、終わることのない背徳の宴。 指は確信しました。自分を導き、狂わせ、そして愛してくれるこの二人の女性から、自分は一生、逃れることができないのだと。

窓の外では、海外の空の下にいる父親の知らないところで、三人の新しい、そして歪んだ「家族」の形が完成しようとしていました。

                     完

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