『指、23歳。本日も出荷不能 ―ベテラン検査官と独占欲なお姉さま― 🔞 』
2026/01/12(月)
「……えー、本日付で製造一課に配属されました、指です。二十三歳です。よろしくお願いします」
朝礼の場で僕がそう名乗った瞬間、現場の空気がわずかに震えたのを覚えている。 僕の名前は「指」。苗字ではなく、名前だ。親が「器用な人間になってほしい」とか「人を指し示すリーダーになってほしい」とか、そんな過剰な期待を込めて付けたらしいが、結果として僕は、苗字の「佐藤」よりも圧倒的にインパクトの強い「指くん」として人生を歩むことになった。
「指? 変わった名前だなぁ。おい、親指! ちゃんと仕事しろよ!」 「小指くん、そこ邪魔だよ」
そんな弄りには慣れていた。大学を卒業し、この地方の中堅製造会社に滑り込んだ僕は、地味に、目立たず、定年まで機械の歯車として生きていく。それが僕のささやかな目標だった。
しかし、僕は一つだけ大きな計算違いをしていた。 この工場は、深刻な「若者不足」に陥っていたのだ。特に、僕のように少し色白で、女性経験は一応あるものの、押しに弱くてどこか「放っておけない」オーラを出している新人は、飢えた猛獣たちが蠢くジャングルに放り込まれた仔羊に等しかった。
「ねえ、和代さん。見なさいよ、あの新人……指くんですって」 「あら……いいわね。白くて、細くて。磨けば光るいい『素材』じゃない」
現場の隅で、品質管理のツナギを着た二人のベテラン――美津子さんと和代さんの視線が、僕の背中に突き刺さっていた。それは教育係が新人を見る目ではなく、熟練の職人が「さて、どう加工してやろうか」と設計図を練る時の冷徹で熱い目だった。
一方、事務所の窓越しには、総務の佐倉さんがコーヒーを片手に、僕が先輩に怒鳴られて縮こまっている姿をじっと見つめていた。 「……指くん。綺麗な指をしてる。……あれに触られたら、どんな気持ちになるのかしら」
僕の名前は指。 二十三歳の春。自分がこれから、現場の猛獣たちに「検品」され、事務所のマドンナに「独占」される、激しすぎる生産ラインに投入されることなど、微塵も知らずに僕は深々と頭を下げていた。
「一生懸命、頑張ります!」
その言葉が、彼女たちのスイッチを完全に入れてしまったことも知らずに。
「おい、指。ちょっと来なさい」 背後からかかった声は、プレス機の音よりも重く心臓に響いた。 品質管理室のツートップ、美津子さんと和代さんだ。二人合わせて「品質の番人」。あるいは「製造部の猛獣使い」。
「あ、はい! 何か不具合でもありましたか……?」 おどおどと振り返る僕に、美津子さんは作業着の襟元を正しながら、肉食獣のような笑みを浮かべた。 「不具合だらけよ。あんた、今日の作業着の着こなし、規定違反。……和代さん、場所変えましょうか」 「そうね。新人の『教育』は、静かな場所じゃないと」
連行されたのは、シフト交代の合間で無人になった更衣室だった。 カチリ、と鍵の閉まる音が絶望的に響く。
「あの、美津子さん? 僕、午後のラインが……」 「黙りなさい。あんた、うちの製品の一部になるんだから、まずはその『外装』が適正かどうか、私たちが直接チェックしてあげるわ」
和代さんが僕の背後に回り込み、慣れた手つきで作業着のジッパーを引き下ろした。 「あら、指くん。意外といい体してるじゃない。これは入念な検査が必要ね」 「ちょっと、待ってください! 脱がすのは自分で……っ!」 「ダメよ、新人は黙って検査されなさい。ほら、腕上げて」
抵抗しようにも、二人の熟練した連携プレーには隙がない。一人が腕を抑え、もう一人がボタンを外す。まるで熟練の組立ラインのような手際良さで、僕はあっという間に「納品直前の裸体」にされてしまった。
「……ふーん。見かけによらず、ここは『規格外』のサイズかもしれないわね」 美津子さんの指先が、僕の胸元をツンと突いた。 「和代さん、精密測定の準備はいい?」 「ええ、もちろん。指くん、覚悟しなさい。私たちの検査は、合格が出るまで終わらないんだから」
「ちょ、ちょっと! 美津子さん、そこは検品の対象外でしょ……っ!」 僕の情けない声が、無機質な更衣室に反響する。 しかし、美津子さんは冷徹な検査官の目(を装った熱い視線)で、僕の太ももをパチンと叩いた。
「バカ言わないで。末端の動作確認を怠って、現場で使い物にならなくなったら責任問題でしょ? 和代さん、可動域のチェックをお願い」 「了解。指くん、リラックスして。力を抜かないと『摩耗』が早まっちゃうわよ?」
和代さんが僕の背後から両腕をがっちりとホールドする。40代の女性とは思えない、生活の知恵と執念が詰まった力強いホールドだ。抗おうにも、彼女の柔らかな胸の感触が背中に押し当てられ、23歳の僕の脳は一瞬でショートしてしまった。
「あ……っ、和代さん、当たってます……」 「あら、どこが? ここかしら、それとも……こっち?」
和代さんの手が、僕の腹筋をなぞりながら下へと滑り込む。一方で、正面に陣取った美津子さんは、まるで精密機械のスイッチを点検するかのように、僕の「中心部」を指先でじっくりと吟味し始めた。
「……ふぅん。外観検査は合格ね。でも、熱膨張が激しいわ。これじゃ設計図通りの寸法か怪しいわね」 「それは、あんたたちがそんな手つきで触るから……!」 「口だけは達者ね、新人。ほら、ここがこんなに『出力』を上げようとしてる」
美津子さんが手のひらで包み込み、ゆっくりと上下にストロークを始める。その熟練した動きは、まさに「職人の手業」。無駄のない、それでいて最も効果的な摩擦が僕を襲う。
「ひ、ぅ……あ、ダメだ、これ……」 「ダメじゃないわよ。和代さん、補助に入って。このパーツ、もっと奥まで潤滑油を馴染ませないと」
和代さんが僕の耳元で「んふふ」と妖艶に笑い、僕の首筋に舌を這わせる。背後からの攻めと、正面からの容赦ない刺激。二人掛かりの波状攻撃に、僕の思考は真っ白な「不良品」と化した。
「あ、あああ! 美津子さん、そこ、早い……!」 「あら、もう限界? 製造ラインに入ってまだ数分よ? もっと耐久テストを繰り返さないと、一人前の『職人』にはなれないわよ、指くん」
更衣室のベンチに押し倒され、僕は二人のベテラン検査官による、終わりのない「性能評価」にどっぷりと沈められていくのだった。
「和代さん、ちょっと押さえてて。このパーツ、意外と跳ねが強いわ」 美津子さんの冷静な分析とは裏腹に、彼女の目は獲物を見つけた肉食獣のようにギラついている。和代さんは「はいはい」と楽しそうに答えながら、僕の両手首を頭上でがっちりと固定した。
「指くん、動いちゃダメよ? 検査中に暴れると、『不適合品』として廃棄しちゃうわよ」 和代さんの吐息が耳にかかり、首筋を甘噛みされる。逃げ場のない密室で、僕は二人のベテランに完全に制圧されていた。
美津子さんの手が、僕の熱くなった中心部をしっかりと握りしめる。 「さあ、耐久テスト開始よ」
最初は、指先で表面の感触を確かめるような、じっとりとした愛撫。 しかし、僕が小さく声を漏らすと、彼女の動きは一変した。 「あら、感度良好ね。じゃあ、回転数を上げるわよ」
美津子さんの手のひらは、長年の家事や仕事で鍛えられているのか、驚くほど吸い付くような質感をしていた。親指と人差し指で輪を作り、亀頭のギリギリを絶妙な圧力で締め上げる。そこから一気に、根元まで力強く引き下ろす。
「あ、ぐ……っ! 美津子さん、そこ、きつい……!」 「きついのはどっちかしら? ほら、こんなにパンパンに張っちゃって。和代さん、ここ見て。脈打ってるわ」
和代さんが僕の顔を覗き込み、ニヤニヤしながら僕の唇を指でなぞる。 「本当ね。指くん、顔真っ赤。可愛いわよ、そんなに気持ちいいの?」 「はぁ、はぁ……っ、もう、無理……」
美津子さんのピッチがさらに上がる。 上下のストロークに、親指による執拗な先端への摩擦が加わった。 熟練の職人がヤスリをかけるように、迷いのない、最短距離で絶頂へと導く動き。
「まだよ、まだ『出荷』は許さないわ。限界まで性能を引き出さないと」 「あ、あああ! ダメ、出る、出ちゃう……!!」
僕の腰が勝手に跳ねるが、和代さんの膝が僕の太ももをがっちりと押さえ込み、逃がしてくれない。 美津子さんの手の動きは、もはや目にも止まらぬ速さの「高速ピストン」へと変わっていた。
「さあ、全部出しなさい! 新人の意地を見せてごらんなさいよ!」
美津子さんの指が、一番敏感なカリの裏側を強く弾いた瞬間。 僕の視界は真っ白になり、更衣室の天井がぐるぐると回った。 「あ、が……っ!!」
ドクドクと、23歳のエネルギーが美津子さんの手の中に、そして更衣室の床に勢いよく「納品」されていく。 僕は力なくベンチに倒れ込み、激しい呼吸を繰り返すことしかできなかった。
「……ふぅ。検査完了。なかなかの『高出力』だったわね、美津子さん」 「ええ。でも、一回でバテるようじゃ、明日からの残業はこなせないわよ? 指くん」
美津子さんは、汚れを拭き取りながら、まだ震えている僕の頬を優しく、しかしどこか脅迫めいた手つきで撫でた。
「はぁ、はぁ……」 ベンチで廃人のようになっている僕の耳元で、カシャッ、と無慈悲なシャッター音が響いた。
「ちょ、ちょっと! 美津子さん、今何撮ったんですか……!?」 慌てて顔を上げようとするが、腰に力が入らない。僕の目の前では、美津子さんが最新のスマホを構え、画面を確認しながら「んふふ」と不敵な笑みを浮かべていた。
「何って、『検査結果の証拠写真』よ。ほら見て、このだらしない顔。これが新入社員の指くんですって言っても、誰も信じないわよねぇ」 「最悪だわ、美津子さん。この角度、彼の情けないところがバッチリ写ってる」
和代さんまでスマホを取り出し、別角度から僕の「納品後」の姿を収めていく。
「やめてください! 消してください! それ、立派なパワハラ……というか、セクハラですよ!」 必死の抗議も、百戦錬磨の二人の前では、子犬の遠吠えにすらならない。
「セクハラ? 心外ね。私たちはただ、新人の『ポテンシャル』をデータ化しているだけよ」 美津子さんが僕の鼻先を指でピンと弾いた。 「いい、指くん。この写真が社内グループウェアに誤送信されたら……あんた、明日から『指』じゃなくて『早漏くん』っていう二つ名で、全従業員800人に呼ばれることになるわよ」
「は、八百人……」 想像しただけで、僕の社会人生活が完全消滅する音が聞こえた。
「それが嫌なら、わかるわよね?」 和代さんが僕の耳元に唇を寄せ、毒蛇のような甘い声で囁く。 「これからは、私たちの言うことは絶対。呼び出しがかかったら、ライン作業中でも、昼休みでも、たとえ社長の話の最中でも、すぐに駆けつけること。いいわね?」
「……はい」 僕は力なくうなだれた。23歳、夢の製造業就職。 しかし、僕に手渡されたのは、輝かしいキャリアパスではなく、二人の熟練検査官による「永久奴隷契約書」だった。
「よろしい。じゃあ、まずはその『不具合だらけの身なり』を整えなさい。午後のラインが始まるわよ」
二人は満足げにスマホをポケットにしまい、何事もなかったかのように作業着の襟を正すと、悠々と更衣室を出て行った。 一人残された僕は、震える手で作業着のジッパーを上げた。これから毎日、この二人の顔色を伺いながら「検査」を受ける日々が始まるのだ……。
「お疲れさまでしたー……」 終業のチャイムとともに、僕は足早にタイムカードへ向かった。一刻も早くこの工場から脱出し、現実を忘れて布団に潜り込みたい。
しかし、タイムカードを押そうとした僕の腕が、左右からガシッと掴まれた。
「あら、指くん。どこへ急いでるのかしら?」 左から和代さん。 「今日の午後のライン、動きがぎこちなかったわね。まだ『調整』が足りないんじゃない?」 右から美津子さん。
二人の目は、定時退社を喜ぶOLのそれではなく、獲物をじっくり調理しようとするシェフの目だった。
「いや、あの、今日は家でレポートを……」 「レポートなら、私の家で書きなさい。資料(スマホの例の写真)もたっぷりあるしね」 美津子さんがスマホの画面をチラつかせながら、僕の脇腹をツンと突いた。
抵抗の余地などなかった。僕は二人の熟練検査官に挟まれるようにして、美津子さんの愛車――これまた生活感溢れる軽自動車の後部座席に押し込まれた。
「さあ、着いたわよ。指くん、歓迎するわ」 連れてこられたのは、美津子さんの自宅マンション。玄関をくぐると、そこには昼間の作業着姿からは想像もつかない、どこか生活感と大人の色気が混ざり合った「女の聖域」が広がっていた。
「さあ、まずはその窮屈な作業着、脱いじゃいなさい。汚れちゃうと困るでしょ?」 和代さんが鼻歌混じりに、僕のベルトに手をかける。 「美津子さん、この子、車の中でもずっと震えてたのよ。可愛いわね」
「そうね。じゃあ、まずは『お清め』から始めましょうか。指くん、お風呂場へ行きなさい。和代さんと私が、隅々まで洗ってあげるから」
「えっ、二人と一緒に……!?」 「当たり前でしょ。これは三人の『合同研修』なんだから。ほら、もたもたしない!」
逃げられない風呂場で、僕は二人のベテラン女性に挟まれ、文字通り「まな板の上の鯉」状態になった。 美津子さんが僕の背中を流し、和代さんが正面から僕の体を泡立てる。
「……あら、指くん。また熱膨張が始まってるわね。更衣室での検査、もう忘れちゃったのかしら?」 和代さんの柔らかな胸が泡まみれで僕の腕に擦れ、美津子さんの指先が僕の耳たぶを甘く噛む。
「今夜は長いわよ、指くん。明日の朝、ちゃんと出勤できるかしらね?」
湯気に包まれた密室で、二人の「お姉さま」による、更衣室での検品よりも遥かに濃厚で、容赦のない「再検査」の幕が上がった。
湯気に包まれた洗い場。僕は小さな椅子に座らされ、左右から伸びてくる手に翻弄されていた。 「ほら、指くん。細かいところまで洗わないと、不純物が残っちゃうわよ」 和代さんがたっぷりの泡で僕の胸元をなぞり、美津子さんは背後から僕の首筋に熱いシャワーを浴びせながら、耳元で囁く。
「……あら、ここ。もうこんなに硬くなって。お風呂の温度、高すぎたかしら?」 美津子さんの濡れた指先が、僕の先端をツンと弾く。 「あ、ぐ……っ、二人掛かりは、反則です……」 泡の滑りと、二人の柔らかな肌が交互に僕に触れる。狭い洗い場で、視界に入るのは二人の熟練された「大人の曲線美」だけ。逃げ場のない快楽の熱に、僕は意識が溶けそうになっていた。
お風呂上がり。ビールを一杯煽ってさらに艶っぽさを増した二人に、僕はベッドへと押し倒された。 「さて、ここからが本番の『耐久テスト』よ」 美津子さんが僕の上に跨り、和代さんは僕の脚の間に潜り込む。
「指くん、若いからってすぐ終わらせたら減点だからね?」 和代さんの舌が僕の太ももの内側を這い上がり、美津子さんは僕のシャツのボタンを一つずつ、噛みちぎらんばかりの勢いで外していく。 「美津子さん……和代さん……っ!」 一人が吸い付き、一人が弄る。交互に、あるいは同時に。 二人の熟練の技は、僕が今まで経験したことのある「女性経験」とは次元が違った。どこをどう突けば僕が情けない声を出すか、彼女たちは完全に把握している。
「あ、ああああ! もう、出る、出ちゃう……!!」 「ダメよ、まだ。もっと『稼働率』を上げなさい!」 二人の容赦ないピストンと愛撫に、僕は夜が明けるまで何度も、何度も「納品」を繰り返させられた。
翌朝。工場の始業チャイムが、地獄の鐘のように脳内に響く。 僕は、美津子さんの車の助手席で、魂が抜けたような顔をしていた。腰は砕け、膝は笑い、立っているのがやっとの状態だ。
「おはよう、指くん。昨日の研修、最高評価だったわよ」 運転席の美津子さんが、朝から信じられないほどスッキリとした笑顔で僕の太ももを叩く。 「でも、今日もラインは止まらないわ。しっかり働いてね?」 後部座席から和代さんが身を乗り出し、僕の耳を甘噛みした。
「もし今日、居眠りなんてしたら……昨日のベッドでの動画、食堂のモニターで流しちゃうかも?」 「……っ! 頑張ります。全力で、働きます……」
重い体を引きずりながら、僕は二人の「女主人」の後ろを歩いて工場へと入る。 周りの同僚たちは「新人、初日から気合が入ってるな」なんて言っているが、違う。僕はただ、二人の手のひらで転がされるだけの、高性能な「おもちゃ」になっただけなのだ。
僕の社会人生活。これから毎日、この「検品」が続くと思うと……僕は震えながら、しかしどこか期待に胸を躍らせて、製造ラインのスイッチを入れた。
「……指くん、また呼び出されたの? 大変ね」 書類を届けに行った事務所で、佐倉さんがクスクスと笑いながら僕に缶コーヒーを差し出した。 お局コンビに連行される僕の姿は、すでに社内の名物(あるいは同情の対象)になりつつあった。
「……笑い事じゃないですよ、佐倉さん。僕、このままじゃ製品より先に僕の寿命が尽きそうです」 「あはは、そんなこと言わないで。ほら、これあげる。私の『特別支給品』」
渡されたのは、彼女が半分食べたミントタブレットのケースだった。 「あ、ありがとうございます……」 「お礼は、今日の仕事帰り。ちょっと付き合ってくれない? 『彼氏のふり』をしてほしい場所があるの」
1. 疑似恋愛の始まり:レンタル彼氏「指」
連れてこられたのは、隣町のオシャレなバル。 「いい、指くん。今日は私の同級生との飲み会なの。みんな結婚しちゃってて、私だけ独身だと肩身が狭いから……私の『年下の彼氏』として、しっかりエスコートしてね?」
現場の油臭い作業着を脱ぎ捨て、佐倉さんが選んだ小綺麗なシャツに着替えさせられた僕は、彼女の隣に座った。 「ほら、指くん。もっとこっち寄って。付き合ってるんだから、隙間があったらおかしいでしょ?」
彼女の柔らかい肩が僕の腕に当たる。事務所では見せない、少し露出の多い服と、ふわっと漂うシャンプーの香り。 「……指、くん……。好きだよ」 上目遣いで名前を呼ばれ(呼び捨て!)、僕は飲んでいたハイボールを吹き出しそうになった。
飲み会が終わり、少し酔った佐倉さんを抱えるようにして夜道を歩く。 「指くん……今日はありがと。あいつら、あんたのこと『可愛い』って言ってたよ」 「あはは、光栄です。……でも、もう『彼氏のふり』は終わりですよね?」
立ち止まった彼女は、僕のネクタイをぐいっと引き寄せた。 「……終わりじゃないわよ。まだ『アフターサービス』が残ってるでしょ?」
彼女の瞳は、昼間の癒やし系お姉さんのものではなかった。 「指くん。私ね、お局さんたちが君をどう『検品』してるか、全部知ってるんだから。……私も、自分の目で確かめたくなっちゃった」
「え、今からですか? でもここは会社……」 「いいのよ。守衛さんは私の知り合いだし、今は誰もいないわ」 暗い事務所。コピー機の青白い光だけが、壁に立てかけられた僕と佐倉さんの影を映し出す。
「指くん、これは仕事じゃないから。……純愛、してみる?」
「さ、佐倉さん……ここで、ですか? 誰か来たら……」 「いいのよ。今は私と指くん、二人きり。……それとも、あのお局さんたちとはあんなに激しくやってたのに、私とは怖いの?」
佐倉さんは、昼間の優しい「お姉さん」の仮面を脱ぎ捨てていた。 彼女は僕を事務机に座らせると、自分はタイトスカートの裾を気にすることもなく、僕の膝の間に割り込んできた。
「指くん、耳まで真っ赤。……可愛い」 彼女の手が、僕のシャツの胸元へ滑り込む。お局さんたちの力強さとは違う、白くて細い指先。でも、その動きは驚くほど手慣れていて、迷いがない。
「っ……あ……!」 「声、出しちゃダメよ? 警備員さんに聞こえちゃうでしょ」
佐倉さんは僕の唇を指で制しながら、もう片方の手で僕のベルトを器用に外した。 カチャリ、という金属音が静まり返った事務所に響く。 コピー機の青白い予熱ランプが、彼女の艶やかな瞳を照らし出していた。
「……ふふ、本当。お局さんたちが夢中になるわけだわ。こんなに素直なんだもの」 彼女はデスクの上に置いてあった指サックを手に取ると、いたずらっぽく笑った。 「今日は事務所だから、事務用品で『検品』してあげようか?」
「そ、それは……」 「嘘よ。……でも、私のことは『疑似』じゃなくて、『本物』にしてほしいな」
佐倉さんは僕の首に腕を回し、深いキスを落とした。 お局コンビの強引な「検査」に慣らされていた僕の体に、佐倉さんのしなやかな愛撫は、全く別の、甘く痺れるような快楽を叩き込んでいく。
デスクの上に散らばった書類が、僕たちの動きに合わせてカサカサと音を立てる。 パソコンのモニターが放つ光の中で、佐倉さんの白い肌が発光しているように見えた。
「指くん……もっと。私の名前、呼んで……?」 「佐倉、さん……っ」 「さん、はいらないわ。……今は、彼女なんだから」
「……指くん、痛くない? 大丈夫?」 佐倉さんの声は、現場で浴びせられる命令口調とは正反対の、包み込むような優しさに満ちていた。
机の上に広げられた柔らかなブランケットの上で、僕たちは重なり合っていた。 お局さんたちの時は、ただ一方的に「検査」され、強制的に「排出」させられる、荒々しい嵐のような時間。けれど、佐倉さんの手は、僕の頬を、髪を、慈しむようにゆっくりとなぞっていく。
「あ、佐倉さん……すごく、温かいです……」 「ふふ、指くんの鼓動、私にまで伝わってくるよ。……ねえ、こっち向いて?」
視線が絡み合い、何度も深いキスを交わす。 それはただの粘膜の接触ではなく、お互いの存在を確かめ合う儀式のようだった。 彼女が僕を受け入れる時、そこには暴力的な刺激ではなく、吸い付くような一体感と、胸が締め付けられるような切なさが溢れていた。
「……っ、あ……佐倉、さん……っ!」 「いいよ、指くん……全部、私に預けて。現場で頑張ってる君を、私が一番近くで甘やかしてあげるから……」
彼女の背中に回した僕の腕に、力がこもる。 お局コンビに「出させられる」のとは違う。自分の意思で、この愛しい人を喜ばせたい、この人の中に溶けてしまいたいという欲求。 最高潮に達した瞬間、僕は彼女の名前を何度も呼びながら、その温もりの中に深く、深く沈んでいった。
翌朝、工場の床を叩く安全靴の音が、いつもより重く響いていた。 僕は、昨夜の佐倉さんの温もりを肌に感じながら、なんとか平静を装って製造ラインに立っていた。しかし、背後に漂った「油と加齢臭、そして執念」が混ざった気配に、背筋が凍りつく。
「……ねえ、指。昨日の検査、まだ終わってなかったわよね?」
美津子さんの低い声が、プレス機の駆動音を突き抜けて鼓膜に刺さった。振り返ると、そこには美津子さんと和代さんが、獲物を追い詰めた猟犬のような目で立っている。
「美津子さん……おはようございます。あ、あの、今日のノルマが……」 「ノルマの話なんてしてないわ。あんたのその『顔』。……昨夜、誰に溶かされたの?」
美津子さんの節くれだった指が、僕の顎を強くクイと持ち上げる。和代さんは僕の首筋に顔を埋めるようにして、深く、執拗に匂いを嗅いだ。 「……やっぱり。現場の匂いじゃないわね。事務所の、あの女の匂いだわ」
「ひっ……!」 思わず声が漏れる。二人の手が、作業着越しに僕の体を「検品」し始める。容赦のない、排出だけを目的とした指使い。更衣室の記憶が蘇り、体が勝手に強張る。
「やめてください……ここは現場です……」 「いいじゃない。どうせあんた、あの女にはもっと汚い声で鳴いてたんでしょ?」
絶体絶命。そう思った瞬間、現場の騒音を切り裂くような、硬いヒールの音が響いた。
「そこまでにしていただけますか。……私の『指くん』に、無許可で触らないで」
立っていたのは、佐倉さんだった。いつもはおっとりしている彼女が、今は氷のような冷徹な瞳で、お局二人を睨みつけている。
「あら、佐倉さん。事務所の人間が現場に何の用?」 美津子さんが僕の手を離さず、挑発的に笑う。佐倉さんは迷いなく僕の側まで歩み寄ると、美津子さんの手を力強く振り払い、僕の腕を自分の胸に抱き寄せた。
「用ならあります。……指くんと私は、結婚を前提にお付き合いしています。彼はもう、あなたたちの『おもちゃ』じゃないんです」
現場に緊張が走る。 佐倉さんの腕は震えていた。でも、その瞳には僕への真っ直ぐな愛と、独占欲が燃えている。昨夜、僕を優しく抱きしめ、「もう一人にさせない」と囁いてくれた、あの温かい佐倉さんのままだ。
「結婚……? 本気で言ってるの? 事務所のマドンナが、この使い走りの新人と?」 和代さんが鼻で笑う。しかし、佐倉さんは怯まなかった。
「ええ、本気です。……指くんの、あんなに切なくて、優しい愛し方を知っているのは私だけ。あなたたちに、彼の心までは渡さない」
僕は、佐倉さんの言葉に胸が熱くなった。お局さんたちに「道具」として扱われていた僕を、一人の男として必要としてくれたのは彼女だけだ。 けれど、美津子さんはふっと不敵な笑みを浮かべ、僕の耳元で囁いた。
「……いいわ。結婚でも何でもすればいい。でもね、佐倉さん。この子の『体』が、もう私たちのテクニックなしでは満足できないようになっていたら……どうするつもり?」
美津子さんの手が、作業着のポケット越しに、僕の最も敏感な場所に触れる。一瞬で頭が真っ白になるような、熟練の刺激。 「あ……っ……!」 佐倉さんの目の前で、僕の体は裏切り者のように反応してしまう。
「ほら、見て。口では愛を語っても、体は『現場の加工』を求めてるわよ?」 「……っ! それは……」
佐倉さんの顔が、一瞬で屈辱と独占欲に染まる。彼女は僕の顔を引き寄せると、美津子さんたちに見せつけるように、深く、激しいキスをした。
「……だったら、私が教育し直すだけ。昼間はあなたたちに任せるわ。でも、夜の彼は……一滴残らず、私が管理する。戸籍も、未来も、この子の精液も……全部私のものよ」
三人の女性の視線が、僕の体の上で激しく火花を散らす。 愛し合うはずの佐倉さんの目にも、どこかお局コンビに近い「狂気」が宿り始めていた。
「指くん……覚悟してね? 今夜からは、一睡もさせないから」
僕の体は、佐倉さんの甘く柔らかな感触に包まれていた。 美津子さんや和代さんとの情事は、常にどこか緊張感を伴う「検査」だった。彼女たちの手つきは厳しく、熟練していて、僕を強制的に「排出」させることに特化していた。それは快感でありながら、常に「道具」として扱われている感覚が拭えなかった。
しかし、佐倉さんの腕の中は違った。 「指……もう、いいんだよ。我慢しなくて」 彼女は僕を抱きしめ、背中をゆっくりと撫でる。その手つきは、まるで壊れ物を扱うように繊細で、それでいて、僕の心の奥深くにまで届くような温かさがあった。
昨夜、三人の女たちの間で交わされた「指くんシェアリング協定」。 昼間は現場で「お局のペット」としてこき使われ、夜は「事務所のマドンナの夫」として彼女にすべてを捧げる。 その現実に、僕は戸惑いと、そしてどこか抗えない安堵を感じていた。
「佐倉さん……僕、本当に、あなたでいいんですか?」 「なによ、指。そんなこと言うの?」
彼女は僕の顔を両手で挟み込み、瞳を覗き込む。 「あの二人に、どれだけ酷いことされてるか知ってるよ? でもね……私が全部、上書きしてあげる。二人の汚い指の跡を、私の愛で消し去ってあげるから」
その言葉は、優しかったが、どこか恐ろしいほどの独占欲に満ちていた。 佐倉さんは僕のシャツのボタンを一つずつ、まるで宝物でも扱うかのように丁寧に外していく。 「指……あなたの名前、本当に綺麗だよね」
彼女の白い指が、僕の体の上を這う。 それは、昨夜の事務机の上で味わった、背徳的な快楽とはまた違う、深く、ねっとりとした愛撫だった。 「あなたのその指で、私を愛してほしいの」
佐倉さんは僕の手を取り、ゆっくりと自分の胸へと導く。 「ほら。私を、もっと撫でて。もっと、触って。私がどれだけ、指を求めているか、全部教えてあげて」
僕の指が、彼女の柔らかな肌に触れる。 美津子さんや和代さんに触れられる時の、反射的な反応とは違う。 自分の意思で、この愛しい人を愛し、喜ばせたい。 その想いが、僕の体の中で確かな熱となり、指先へと伝わっていく。
「もっと、奥まで……」 佐倉さんの懇願するような声が、僕をさらに深く誘い込む。 僕の指は、彼女の体をなぞり、その滑らかな曲線、秘められた熱を、一つ残らず記憶していく。 そして、それはやがて、僕の「中心」を大きく揺さぶり、彼女の中で最高の「愛の印」を刻むことになった。
その夜、佐倉さんの「再教育」は、朝が来るまで何度も繰り返された。 「指……私のものになってくれて、ありがとう」 彼女の言葉は、僕の心を甘く痺れさせ、自分がどこに「所属」すべきなのかを、はっきりと教えてくれた。
佐倉さんの腕の中で迎えた朝は、人生で最も甘美な目覚めだった。 しかし、その余韻も、工場の門をくぐった瞬間に無残に砕け散る。
「指! 遅いじゃないの、私の『ペット』が」
美津子さんの声だった。僕は美津子さんの愛車から降りた途端、有無を言わさぬ力で作業ラインへと引きずられていった。 佐倉さんが工場長に挨拶するフリをして、僕にだけ小さくウィンクを寄越した。 『夜まで待っててね、指』 その視線に、僕は「夜」への期待と、それまで耐え抜く「昼」への恐怖を感じた。
「昨夜、事務所で何を『加工』されてきたのかしらね? あんたの体が、私たち以外の匂いを覚えているようじゃ困るのよ」 美津子さんは、作業指示を出すフリをして、僕の腰に手を回す。指先が、昨夜佐倉さんに愛撫されたばかりの場所を、まるで「再検査」するようにグリグリと押し付けた。 「ひっ……!」 「声を出さないの。誰かに聞かれたら、あんたが『不適合品』だってバレちゃうわよ?」
和代さんも加わる。彼女は僕の作業着のポケットに手を突っ込み、その中で僕の「中心部」をまさぐり始めた。 「あらあら、美津子さん。夜の研修が甘かったのかしら? 指くん、朝からこんなに元気がいいわ」 「ふふ、じゃあ私たちでしっかり『調整』してあげないとね」
ベルトコンベアが動き、無骨な機械音が響き渡る製造ライン。 他の従業員たちは、僕たちが通常の作業指示をしているとしか思っていないだろう。 だが、僕の体は、二人のベテランの指使いによって、昼間からすでに「フル稼働」状態だった。
「だ、ダメです……今日は午前中に監査が……」 「監査なんて関係ないわ。私たちは今、あんたの『身体の監査』をしているところよ」
美津子さんが僕の背中にぴったりと体を寄せ、僕の耳元で低い声で囁く。 「夜は事務所の女と愛し合うんでしょ? なら、昼間は私たちに、もっともっと、尽くさないとダメじゃない。あんたのその体、誰に作られたものだと思ってるの?」
和代さんの指が、作業着の布越しに、僕の敏感な場所を力強く締め上げる。 「あ、あう……っ!」 不意の刺激に、僕の腰がカクンと折れそうになる。 それを、二人のベテランが左右から挟み込むようにして支え、まるで機械の一部であるかのように動かす。
「……ふぅん、やっぱりね。あの女じゃ、私たちの『教育成果』は打ち消せないみたいね」 美津子さんが満足そうに鼻を鳴らす。 「むしろ、夜の研修で鍛えられた分、反応が良くなってるじゃない。これじゃ、ますます手放せないわね、指くん」
「指くん、今日の残業も期待してるわよ」 美津子さんがニヤリと笑い、僕の肩を叩く。その手には、昼間のうちに「教育」し尽くした僕の反応を楽しむような、サディスティックな優しさが宿っていた。
「……はい、美津子さん。精一杯、努めます」 僕はもう、抗うことをやめていた。 現場で二人のベテランに「道具」として徹底的に磨き上げられ、排出させられる快感。それは僕という人間を、この工場の機械の一部として完全に適合させてしまった。
そして定時のチャイムが鳴る。 工場の門を出れば、そこには純白のブラウスを翻した佐倉さんが、僕だけの「正妻」として待っている。
「お疲れ様、指。……さあ、汚い油の匂いは私が全部、洗い流してあげる」 彼女の車に乗り込めば、そこからは「男」としての再教育が始まる。 お局たちに刻まれた「道具」としての記憶を、彼女は独占欲という名の深い愛で、一晩かけて上書きしていくのだ。
僕の名前は指。二十三歳。 現場の猛獣たちに肉体を、事務所のマドンナに魂を。 二つの異なる愛の生産ラインに組み込まれた僕は、今日もまた、誰にも真似できない「精密な愛」を納品し続ける。
工場の夜景が遠ざかる中、僕は確信していた。 この過酷で、滑稽で、けれど最高に熱い「二重の支配」こそが、僕という人間が最も輝ける場所なのだと。
「……指、愛してるよ」 耳元で囁く佐倉さんの声を聞きながら、僕は深い恍惚とともに、次なる「研修」へと身を委ねた。
(完)
朝礼の場で僕がそう名乗った瞬間、現場の空気がわずかに震えたのを覚えている。 僕の名前は「指」。苗字ではなく、名前だ。親が「器用な人間になってほしい」とか「人を指し示すリーダーになってほしい」とか、そんな過剰な期待を込めて付けたらしいが、結果として僕は、苗字の「佐藤」よりも圧倒的にインパクトの強い「指くん」として人生を歩むことになった。
「指? 変わった名前だなぁ。おい、親指! ちゃんと仕事しろよ!」 「小指くん、そこ邪魔だよ」
そんな弄りには慣れていた。大学を卒業し、この地方の中堅製造会社に滑り込んだ僕は、地味に、目立たず、定年まで機械の歯車として生きていく。それが僕のささやかな目標だった。
しかし、僕は一つだけ大きな計算違いをしていた。 この工場は、深刻な「若者不足」に陥っていたのだ。特に、僕のように少し色白で、女性経験は一応あるものの、押しに弱くてどこか「放っておけない」オーラを出している新人は、飢えた猛獣たちが蠢くジャングルに放り込まれた仔羊に等しかった。
「ねえ、和代さん。見なさいよ、あの新人……指くんですって」 「あら……いいわね。白くて、細くて。磨けば光るいい『素材』じゃない」
現場の隅で、品質管理のツナギを着た二人のベテラン――美津子さんと和代さんの視線が、僕の背中に突き刺さっていた。それは教育係が新人を見る目ではなく、熟練の職人が「さて、どう加工してやろうか」と設計図を練る時の冷徹で熱い目だった。
一方、事務所の窓越しには、総務の佐倉さんがコーヒーを片手に、僕が先輩に怒鳴られて縮こまっている姿をじっと見つめていた。 「……指くん。綺麗な指をしてる。……あれに触られたら、どんな気持ちになるのかしら」
僕の名前は指。 二十三歳の春。自分がこれから、現場の猛獣たちに「検品」され、事務所のマドンナに「独占」される、激しすぎる生産ラインに投入されることなど、微塵も知らずに僕は深々と頭を下げていた。
「一生懸命、頑張ります!」
その言葉が、彼女たちのスイッチを完全に入れてしまったことも知らずに。
「おい、指。ちょっと来なさい」 背後からかかった声は、プレス機の音よりも重く心臓に響いた。 品質管理室のツートップ、美津子さんと和代さんだ。二人合わせて「品質の番人」。あるいは「製造部の猛獣使い」。
「あ、はい! 何か不具合でもありましたか……?」 おどおどと振り返る僕に、美津子さんは作業着の襟元を正しながら、肉食獣のような笑みを浮かべた。 「不具合だらけよ。あんた、今日の作業着の着こなし、規定違反。……和代さん、場所変えましょうか」 「そうね。新人の『教育』は、静かな場所じゃないと」
連行されたのは、シフト交代の合間で無人になった更衣室だった。 カチリ、と鍵の閉まる音が絶望的に響く。
「あの、美津子さん? 僕、午後のラインが……」 「黙りなさい。あんた、うちの製品の一部になるんだから、まずはその『外装』が適正かどうか、私たちが直接チェックしてあげるわ」
和代さんが僕の背後に回り込み、慣れた手つきで作業着のジッパーを引き下ろした。 「あら、指くん。意外といい体してるじゃない。これは入念な検査が必要ね」 「ちょっと、待ってください! 脱がすのは自分で……っ!」 「ダメよ、新人は黙って検査されなさい。ほら、腕上げて」
抵抗しようにも、二人の熟練した連携プレーには隙がない。一人が腕を抑え、もう一人がボタンを外す。まるで熟練の組立ラインのような手際良さで、僕はあっという間に「納品直前の裸体」にされてしまった。
「……ふーん。見かけによらず、ここは『規格外』のサイズかもしれないわね」 美津子さんの指先が、僕の胸元をツンと突いた。 「和代さん、精密測定の準備はいい?」 「ええ、もちろん。指くん、覚悟しなさい。私たちの検査は、合格が出るまで終わらないんだから」
「ちょ、ちょっと! 美津子さん、そこは検品の対象外でしょ……っ!」 僕の情けない声が、無機質な更衣室に反響する。 しかし、美津子さんは冷徹な検査官の目(を装った熱い視線)で、僕の太ももをパチンと叩いた。
「バカ言わないで。末端の動作確認を怠って、現場で使い物にならなくなったら責任問題でしょ? 和代さん、可動域のチェックをお願い」 「了解。指くん、リラックスして。力を抜かないと『摩耗』が早まっちゃうわよ?」
和代さんが僕の背後から両腕をがっちりとホールドする。40代の女性とは思えない、生活の知恵と執念が詰まった力強いホールドだ。抗おうにも、彼女の柔らかな胸の感触が背中に押し当てられ、23歳の僕の脳は一瞬でショートしてしまった。
「あ……っ、和代さん、当たってます……」 「あら、どこが? ここかしら、それとも……こっち?」
和代さんの手が、僕の腹筋をなぞりながら下へと滑り込む。一方で、正面に陣取った美津子さんは、まるで精密機械のスイッチを点検するかのように、僕の「中心部」を指先でじっくりと吟味し始めた。
「……ふぅん。外観検査は合格ね。でも、熱膨張が激しいわ。これじゃ設計図通りの寸法か怪しいわね」 「それは、あんたたちがそんな手つきで触るから……!」 「口だけは達者ね、新人。ほら、ここがこんなに『出力』を上げようとしてる」
美津子さんが手のひらで包み込み、ゆっくりと上下にストロークを始める。その熟練した動きは、まさに「職人の手業」。無駄のない、それでいて最も効果的な摩擦が僕を襲う。
「ひ、ぅ……あ、ダメだ、これ……」 「ダメじゃないわよ。和代さん、補助に入って。このパーツ、もっと奥まで潤滑油を馴染ませないと」
和代さんが僕の耳元で「んふふ」と妖艶に笑い、僕の首筋に舌を這わせる。背後からの攻めと、正面からの容赦ない刺激。二人掛かりの波状攻撃に、僕の思考は真っ白な「不良品」と化した。
「あ、あああ! 美津子さん、そこ、早い……!」 「あら、もう限界? 製造ラインに入ってまだ数分よ? もっと耐久テストを繰り返さないと、一人前の『職人』にはなれないわよ、指くん」
更衣室のベンチに押し倒され、僕は二人のベテラン検査官による、終わりのない「性能評価」にどっぷりと沈められていくのだった。
「和代さん、ちょっと押さえてて。このパーツ、意外と跳ねが強いわ」 美津子さんの冷静な分析とは裏腹に、彼女の目は獲物を見つけた肉食獣のようにギラついている。和代さんは「はいはい」と楽しそうに答えながら、僕の両手首を頭上でがっちりと固定した。
「指くん、動いちゃダメよ? 検査中に暴れると、『不適合品』として廃棄しちゃうわよ」 和代さんの吐息が耳にかかり、首筋を甘噛みされる。逃げ場のない密室で、僕は二人のベテランに完全に制圧されていた。
美津子さんの手が、僕の熱くなった中心部をしっかりと握りしめる。 「さあ、耐久テスト開始よ」
最初は、指先で表面の感触を確かめるような、じっとりとした愛撫。 しかし、僕が小さく声を漏らすと、彼女の動きは一変した。 「あら、感度良好ね。じゃあ、回転数を上げるわよ」
美津子さんの手のひらは、長年の家事や仕事で鍛えられているのか、驚くほど吸い付くような質感をしていた。親指と人差し指で輪を作り、亀頭のギリギリを絶妙な圧力で締め上げる。そこから一気に、根元まで力強く引き下ろす。
「あ、ぐ……っ! 美津子さん、そこ、きつい……!」 「きついのはどっちかしら? ほら、こんなにパンパンに張っちゃって。和代さん、ここ見て。脈打ってるわ」
和代さんが僕の顔を覗き込み、ニヤニヤしながら僕の唇を指でなぞる。 「本当ね。指くん、顔真っ赤。可愛いわよ、そんなに気持ちいいの?」 「はぁ、はぁ……っ、もう、無理……」
美津子さんのピッチがさらに上がる。 上下のストロークに、親指による執拗な先端への摩擦が加わった。 熟練の職人がヤスリをかけるように、迷いのない、最短距離で絶頂へと導く動き。
「まだよ、まだ『出荷』は許さないわ。限界まで性能を引き出さないと」 「あ、あああ! ダメ、出る、出ちゃう……!!」
僕の腰が勝手に跳ねるが、和代さんの膝が僕の太ももをがっちりと押さえ込み、逃がしてくれない。 美津子さんの手の動きは、もはや目にも止まらぬ速さの「高速ピストン」へと変わっていた。
「さあ、全部出しなさい! 新人の意地を見せてごらんなさいよ!」
美津子さんの指が、一番敏感なカリの裏側を強く弾いた瞬間。 僕の視界は真っ白になり、更衣室の天井がぐるぐると回った。 「あ、が……っ!!」
ドクドクと、23歳のエネルギーが美津子さんの手の中に、そして更衣室の床に勢いよく「納品」されていく。 僕は力なくベンチに倒れ込み、激しい呼吸を繰り返すことしかできなかった。
「……ふぅ。検査完了。なかなかの『高出力』だったわね、美津子さん」 「ええ。でも、一回でバテるようじゃ、明日からの残業はこなせないわよ? 指くん」
美津子さんは、汚れを拭き取りながら、まだ震えている僕の頬を優しく、しかしどこか脅迫めいた手つきで撫でた。
「はぁ、はぁ……」 ベンチで廃人のようになっている僕の耳元で、カシャッ、と無慈悲なシャッター音が響いた。
「ちょ、ちょっと! 美津子さん、今何撮ったんですか……!?」 慌てて顔を上げようとするが、腰に力が入らない。僕の目の前では、美津子さんが最新のスマホを構え、画面を確認しながら「んふふ」と不敵な笑みを浮かべていた。
「何って、『検査結果の証拠写真』よ。ほら見て、このだらしない顔。これが新入社員の指くんですって言っても、誰も信じないわよねぇ」 「最悪だわ、美津子さん。この角度、彼の情けないところがバッチリ写ってる」
和代さんまでスマホを取り出し、別角度から僕の「納品後」の姿を収めていく。
「やめてください! 消してください! それ、立派なパワハラ……というか、セクハラですよ!」 必死の抗議も、百戦錬磨の二人の前では、子犬の遠吠えにすらならない。
「セクハラ? 心外ね。私たちはただ、新人の『ポテンシャル』をデータ化しているだけよ」 美津子さんが僕の鼻先を指でピンと弾いた。 「いい、指くん。この写真が社内グループウェアに誤送信されたら……あんた、明日から『指』じゃなくて『早漏くん』っていう二つ名で、全従業員800人に呼ばれることになるわよ」
「は、八百人……」 想像しただけで、僕の社会人生活が完全消滅する音が聞こえた。
「それが嫌なら、わかるわよね?」 和代さんが僕の耳元に唇を寄せ、毒蛇のような甘い声で囁く。 「これからは、私たちの言うことは絶対。呼び出しがかかったら、ライン作業中でも、昼休みでも、たとえ社長の話の最中でも、すぐに駆けつけること。いいわね?」
「……はい」 僕は力なくうなだれた。23歳、夢の製造業就職。 しかし、僕に手渡されたのは、輝かしいキャリアパスではなく、二人の熟練検査官による「永久奴隷契約書」だった。
「よろしい。じゃあ、まずはその『不具合だらけの身なり』を整えなさい。午後のラインが始まるわよ」
二人は満足げにスマホをポケットにしまい、何事もなかったかのように作業着の襟を正すと、悠々と更衣室を出て行った。 一人残された僕は、震える手で作業着のジッパーを上げた。これから毎日、この二人の顔色を伺いながら「検査」を受ける日々が始まるのだ……。
「お疲れさまでしたー……」 終業のチャイムとともに、僕は足早にタイムカードへ向かった。一刻も早くこの工場から脱出し、現実を忘れて布団に潜り込みたい。
しかし、タイムカードを押そうとした僕の腕が、左右からガシッと掴まれた。
「あら、指くん。どこへ急いでるのかしら?」 左から和代さん。 「今日の午後のライン、動きがぎこちなかったわね。まだ『調整』が足りないんじゃない?」 右から美津子さん。
二人の目は、定時退社を喜ぶOLのそれではなく、獲物をじっくり調理しようとするシェフの目だった。
「いや、あの、今日は家でレポートを……」 「レポートなら、私の家で書きなさい。資料(スマホの例の写真)もたっぷりあるしね」 美津子さんがスマホの画面をチラつかせながら、僕の脇腹をツンと突いた。
抵抗の余地などなかった。僕は二人の熟練検査官に挟まれるようにして、美津子さんの愛車――これまた生活感溢れる軽自動車の後部座席に押し込まれた。
「さあ、着いたわよ。指くん、歓迎するわ」 連れてこられたのは、美津子さんの自宅マンション。玄関をくぐると、そこには昼間の作業着姿からは想像もつかない、どこか生活感と大人の色気が混ざり合った「女の聖域」が広がっていた。
「さあ、まずはその窮屈な作業着、脱いじゃいなさい。汚れちゃうと困るでしょ?」 和代さんが鼻歌混じりに、僕のベルトに手をかける。 「美津子さん、この子、車の中でもずっと震えてたのよ。可愛いわね」
「そうね。じゃあ、まずは『お清め』から始めましょうか。指くん、お風呂場へ行きなさい。和代さんと私が、隅々まで洗ってあげるから」
「えっ、二人と一緒に……!?」 「当たり前でしょ。これは三人の『合同研修』なんだから。ほら、もたもたしない!」
逃げられない風呂場で、僕は二人のベテラン女性に挟まれ、文字通り「まな板の上の鯉」状態になった。 美津子さんが僕の背中を流し、和代さんが正面から僕の体を泡立てる。
「……あら、指くん。また熱膨張が始まってるわね。更衣室での検査、もう忘れちゃったのかしら?」 和代さんの柔らかな胸が泡まみれで僕の腕に擦れ、美津子さんの指先が僕の耳たぶを甘く噛む。
「今夜は長いわよ、指くん。明日の朝、ちゃんと出勤できるかしらね?」
湯気に包まれた密室で、二人の「お姉さま」による、更衣室での検品よりも遥かに濃厚で、容赦のない「再検査」の幕が上がった。
湯気に包まれた洗い場。僕は小さな椅子に座らされ、左右から伸びてくる手に翻弄されていた。 「ほら、指くん。細かいところまで洗わないと、不純物が残っちゃうわよ」 和代さんがたっぷりの泡で僕の胸元をなぞり、美津子さんは背後から僕の首筋に熱いシャワーを浴びせながら、耳元で囁く。
「……あら、ここ。もうこんなに硬くなって。お風呂の温度、高すぎたかしら?」 美津子さんの濡れた指先が、僕の先端をツンと弾く。 「あ、ぐ……っ、二人掛かりは、反則です……」 泡の滑りと、二人の柔らかな肌が交互に僕に触れる。狭い洗い場で、視界に入るのは二人の熟練された「大人の曲線美」だけ。逃げ場のない快楽の熱に、僕は意識が溶けそうになっていた。
お風呂上がり。ビールを一杯煽ってさらに艶っぽさを増した二人に、僕はベッドへと押し倒された。 「さて、ここからが本番の『耐久テスト』よ」 美津子さんが僕の上に跨り、和代さんは僕の脚の間に潜り込む。
「指くん、若いからってすぐ終わらせたら減点だからね?」 和代さんの舌が僕の太ももの内側を這い上がり、美津子さんは僕のシャツのボタンを一つずつ、噛みちぎらんばかりの勢いで外していく。 「美津子さん……和代さん……っ!」 一人が吸い付き、一人が弄る。交互に、あるいは同時に。 二人の熟練の技は、僕が今まで経験したことのある「女性経験」とは次元が違った。どこをどう突けば僕が情けない声を出すか、彼女たちは完全に把握している。
「あ、ああああ! もう、出る、出ちゃう……!!」 「ダメよ、まだ。もっと『稼働率』を上げなさい!」 二人の容赦ないピストンと愛撫に、僕は夜が明けるまで何度も、何度も「納品」を繰り返させられた。
翌朝。工場の始業チャイムが、地獄の鐘のように脳内に響く。 僕は、美津子さんの車の助手席で、魂が抜けたような顔をしていた。腰は砕け、膝は笑い、立っているのがやっとの状態だ。
「おはよう、指くん。昨日の研修、最高評価だったわよ」 運転席の美津子さんが、朝から信じられないほどスッキリとした笑顔で僕の太ももを叩く。 「でも、今日もラインは止まらないわ。しっかり働いてね?」 後部座席から和代さんが身を乗り出し、僕の耳を甘噛みした。
「もし今日、居眠りなんてしたら……昨日のベッドでの動画、食堂のモニターで流しちゃうかも?」 「……っ! 頑張ります。全力で、働きます……」
重い体を引きずりながら、僕は二人の「女主人」の後ろを歩いて工場へと入る。 周りの同僚たちは「新人、初日から気合が入ってるな」なんて言っているが、違う。僕はただ、二人の手のひらで転がされるだけの、高性能な「おもちゃ」になっただけなのだ。
僕の社会人生活。これから毎日、この「検品」が続くと思うと……僕は震えながら、しかしどこか期待に胸を躍らせて、製造ラインのスイッチを入れた。
「……指くん、また呼び出されたの? 大変ね」 書類を届けに行った事務所で、佐倉さんがクスクスと笑いながら僕に缶コーヒーを差し出した。 お局コンビに連行される僕の姿は、すでに社内の名物(あるいは同情の対象)になりつつあった。
「……笑い事じゃないですよ、佐倉さん。僕、このままじゃ製品より先に僕の寿命が尽きそうです」 「あはは、そんなこと言わないで。ほら、これあげる。私の『特別支給品』」
渡されたのは、彼女が半分食べたミントタブレットのケースだった。 「あ、ありがとうございます……」 「お礼は、今日の仕事帰り。ちょっと付き合ってくれない? 『彼氏のふり』をしてほしい場所があるの」
1. 疑似恋愛の始まり:レンタル彼氏「指」
連れてこられたのは、隣町のオシャレなバル。 「いい、指くん。今日は私の同級生との飲み会なの。みんな結婚しちゃってて、私だけ独身だと肩身が狭いから……私の『年下の彼氏』として、しっかりエスコートしてね?」
現場の油臭い作業着を脱ぎ捨て、佐倉さんが選んだ小綺麗なシャツに着替えさせられた僕は、彼女の隣に座った。 「ほら、指くん。もっとこっち寄って。付き合ってるんだから、隙間があったらおかしいでしょ?」
彼女の柔らかい肩が僕の腕に当たる。事務所では見せない、少し露出の多い服と、ふわっと漂うシャンプーの香り。 「……指、くん……。好きだよ」 上目遣いで名前を呼ばれ(呼び捨て!)、僕は飲んでいたハイボールを吹き出しそうになった。
飲み会が終わり、少し酔った佐倉さんを抱えるようにして夜道を歩く。 「指くん……今日はありがと。あいつら、あんたのこと『可愛い』って言ってたよ」 「あはは、光栄です。……でも、もう『彼氏のふり』は終わりですよね?」
立ち止まった彼女は、僕のネクタイをぐいっと引き寄せた。 「……終わりじゃないわよ。まだ『アフターサービス』が残ってるでしょ?」
彼女の瞳は、昼間の癒やし系お姉さんのものではなかった。 「指くん。私ね、お局さんたちが君をどう『検品』してるか、全部知ってるんだから。……私も、自分の目で確かめたくなっちゃった」
「え、今からですか? でもここは会社……」 「いいのよ。守衛さんは私の知り合いだし、今は誰もいないわ」 暗い事務所。コピー機の青白い光だけが、壁に立てかけられた僕と佐倉さんの影を映し出す。
「指くん、これは仕事じゃないから。……純愛、してみる?」
「さ、佐倉さん……ここで、ですか? 誰か来たら……」 「いいのよ。今は私と指くん、二人きり。……それとも、あのお局さんたちとはあんなに激しくやってたのに、私とは怖いの?」
佐倉さんは、昼間の優しい「お姉さん」の仮面を脱ぎ捨てていた。 彼女は僕を事務机に座らせると、自分はタイトスカートの裾を気にすることもなく、僕の膝の間に割り込んできた。
「指くん、耳まで真っ赤。……可愛い」 彼女の手が、僕のシャツの胸元へ滑り込む。お局さんたちの力強さとは違う、白くて細い指先。でも、その動きは驚くほど手慣れていて、迷いがない。
「っ……あ……!」 「声、出しちゃダメよ? 警備員さんに聞こえちゃうでしょ」
佐倉さんは僕の唇を指で制しながら、もう片方の手で僕のベルトを器用に外した。 カチャリ、という金属音が静まり返った事務所に響く。 コピー機の青白い予熱ランプが、彼女の艶やかな瞳を照らし出していた。
「……ふふ、本当。お局さんたちが夢中になるわけだわ。こんなに素直なんだもの」 彼女はデスクの上に置いてあった指サックを手に取ると、いたずらっぽく笑った。 「今日は事務所だから、事務用品で『検品』してあげようか?」
「そ、それは……」 「嘘よ。……でも、私のことは『疑似』じゃなくて、『本物』にしてほしいな」
佐倉さんは僕の首に腕を回し、深いキスを落とした。 お局コンビの強引な「検査」に慣らされていた僕の体に、佐倉さんのしなやかな愛撫は、全く別の、甘く痺れるような快楽を叩き込んでいく。
デスクの上に散らばった書類が、僕たちの動きに合わせてカサカサと音を立てる。 パソコンのモニターが放つ光の中で、佐倉さんの白い肌が発光しているように見えた。
「指くん……もっと。私の名前、呼んで……?」 「佐倉、さん……っ」 「さん、はいらないわ。……今は、彼女なんだから」
「……指くん、痛くない? 大丈夫?」 佐倉さんの声は、現場で浴びせられる命令口調とは正反対の、包み込むような優しさに満ちていた。
机の上に広げられた柔らかなブランケットの上で、僕たちは重なり合っていた。 お局さんたちの時は、ただ一方的に「検査」され、強制的に「排出」させられる、荒々しい嵐のような時間。けれど、佐倉さんの手は、僕の頬を、髪を、慈しむようにゆっくりとなぞっていく。
「あ、佐倉さん……すごく、温かいです……」 「ふふ、指くんの鼓動、私にまで伝わってくるよ。……ねえ、こっち向いて?」
視線が絡み合い、何度も深いキスを交わす。 それはただの粘膜の接触ではなく、お互いの存在を確かめ合う儀式のようだった。 彼女が僕を受け入れる時、そこには暴力的な刺激ではなく、吸い付くような一体感と、胸が締め付けられるような切なさが溢れていた。
「……っ、あ……佐倉、さん……っ!」 「いいよ、指くん……全部、私に預けて。現場で頑張ってる君を、私が一番近くで甘やかしてあげるから……」
彼女の背中に回した僕の腕に、力がこもる。 お局コンビに「出させられる」のとは違う。自分の意思で、この愛しい人を喜ばせたい、この人の中に溶けてしまいたいという欲求。 最高潮に達した瞬間、僕は彼女の名前を何度も呼びながら、その温もりの中に深く、深く沈んでいった。
翌朝、工場の床を叩く安全靴の音が、いつもより重く響いていた。 僕は、昨夜の佐倉さんの温もりを肌に感じながら、なんとか平静を装って製造ラインに立っていた。しかし、背後に漂った「油と加齢臭、そして執念」が混ざった気配に、背筋が凍りつく。
「……ねえ、指。昨日の検査、まだ終わってなかったわよね?」
美津子さんの低い声が、プレス機の駆動音を突き抜けて鼓膜に刺さった。振り返ると、そこには美津子さんと和代さんが、獲物を追い詰めた猟犬のような目で立っている。
「美津子さん……おはようございます。あ、あの、今日のノルマが……」 「ノルマの話なんてしてないわ。あんたのその『顔』。……昨夜、誰に溶かされたの?」
美津子さんの節くれだった指が、僕の顎を強くクイと持ち上げる。和代さんは僕の首筋に顔を埋めるようにして、深く、執拗に匂いを嗅いだ。 「……やっぱり。現場の匂いじゃないわね。事務所の、あの女の匂いだわ」
「ひっ……!」 思わず声が漏れる。二人の手が、作業着越しに僕の体を「検品」し始める。容赦のない、排出だけを目的とした指使い。更衣室の記憶が蘇り、体が勝手に強張る。
「やめてください……ここは現場です……」 「いいじゃない。どうせあんた、あの女にはもっと汚い声で鳴いてたんでしょ?」
絶体絶命。そう思った瞬間、現場の騒音を切り裂くような、硬いヒールの音が響いた。
「そこまでにしていただけますか。……私の『指くん』に、無許可で触らないで」
立っていたのは、佐倉さんだった。いつもはおっとりしている彼女が、今は氷のような冷徹な瞳で、お局二人を睨みつけている。
「あら、佐倉さん。事務所の人間が現場に何の用?」 美津子さんが僕の手を離さず、挑発的に笑う。佐倉さんは迷いなく僕の側まで歩み寄ると、美津子さんの手を力強く振り払い、僕の腕を自分の胸に抱き寄せた。
「用ならあります。……指くんと私は、結婚を前提にお付き合いしています。彼はもう、あなたたちの『おもちゃ』じゃないんです」
現場に緊張が走る。 佐倉さんの腕は震えていた。でも、その瞳には僕への真っ直ぐな愛と、独占欲が燃えている。昨夜、僕を優しく抱きしめ、「もう一人にさせない」と囁いてくれた、あの温かい佐倉さんのままだ。
「結婚……? 本気で言ってるの? 事務所のマドンナが、この使い走りの新人と?」 和代さんが鼻で笑う。しかし、佐倉さんは怯まなかった。
「ええ、本気です。……指くんの、あんなに切なくて、優しい愛し方を知っているのは私だけ。あなたたちに、彼の心までは渡さない」
僕は、佐倉さんの言葉に胸が熱くなった。お局さんたちに「道具」として扱われていた僕を、一人の男として必要としてくれたのは彼女だけだ。 けれど、美津子さんはふっと不敵な笑みを浮かべ、僕の耳元で囁いた。
「……いいわ。結婚でも何でもすればいい。でもね、佐倉さん。この子の『体』が、もう私たちのテクニックなしでは満足できないようになっていたら……どうするつもり?」
美津子さんの手が、作業着のポケット越しに、僕の最も敏感な場所に触れる。一瞬で頭が真っ白になるような、熟練の刺激。 「あ……っ……!」 佐倉さんの目の前で、僕の体は裏切り者のように反応してしまう。
「ほら、見て。口では愛を語っても、体は『現場の加工』を求めてるわよ?」 「……っ! それは……」
佐倉さんの顔が、一瞬で屈辱と独占欲に染まる。彼女は僕の顔を引き寄せると、美津子さんたちに見せつけるように、深く、激しいキスをした。
「……だったら、私が教育し直すだけ。昼間はあなたたちに任せるわ。でも、夜の彼は……一滴残らず、私が管理する。戸籍も、未来も、この子の精液も……全部私のものよ」
三人の女性の視線が、僕の体の上で激しく火花を散らす。 愛し合うはずの佐倉さんの目にも、どこかお局コンビに近い「狂気」が宿り始めていた。
「指くん……覚悟してね? 今夜からは、一睡もさせないから」
僕の体は、佐倉さんの甘く柔らかな感触に包まれていた。 美津子さんや和代さんとの情事は、常にどこか緊張感を伴う「検査」だった。彼女たちの手つきは厳しく、熟練していて、僕を強制的に「排出」させることに特化していた。それは快感でありながら、常に「道具」として扱われている感覚が拭えなかった。
しかし、佐倉さんの腕の中は違った。 「指……もう、いいんだよ。我慢しなくて」 彼女は僕を抱きしめ、背中をゆっくりと撫でる。その手つきは、まるで壊れ物を扱うように繊細で、それでいて、僕の心の奥深くにまで届くような温かさがあった。
昨夜、三人の女たちの間で交わされた「指くんシェアリング協定」。 昼間は現場で「お局のペット」としてこき使われ、夜は「事務所のマドンナの夫」として彼女にすべてを捧げる。 その現実に、僕は戸惑いと、そしてどこか抗えない安堵を感じていた。
「佐倉さん……僕、本当に、あなたでいいんですか?」 「なによ、指。そんなこと言うの?」
彼女は僕の顔を両手で挟み込み、瞳を覗き込む。 「あの二人に、どれだけ酷いことされてるか知ってるよ? でもね……私が全部、上書きしてあげる。二人の汚い指の跡を、私の愛で消し去ってあげるから」
その言葉は、優しかったが、どこか恐ろしいほどの独占欲に満ちていた。 佐倉さんは僕のシャツのボタンを一つずつ、まるで宝物でも扱うかのように丁寧に外していく。 「指……あなたの名前、本当に綺麗だよね」
彼女の白い指が、僕の体の上を這う。 それは、昨夜の事務机の上で味わった、背徳的な快楽とはまた違う、深く、ねっとりとした愛撫だった。 「あなたのその指で、私を愛してほしいの」
佐倉さんは僕の手を取り、ゆっくりと自分の胸へと導く。 「ほら。私を、もっと撫でて。もっと、触って。私がどれだけ、指を求めているか、全部教えてあげて」
僕の指が、彼女の柔らかな肌に触れる。 美津子さんや和代さんに触れられる時の、反射的な反応とは違う。 自分の意思で、この愛しい人を愛し、喜ばせたい。 その想いが、僕の体の中で確かな熱となり、指先へと伝わっていく。
「もっと、奥まで……」 佐倉さんの懇願するような声が、僕をさらに深く誘い込む。 僕の指は、彼女の体をなぞり、その滑らかな曲線、秘められた熱を、一つ残らず記憶していく。 そして、それはやがて、僕の「中心」を大きく揺さぶり、彼女の中で最高の「愛の印」を刻むことになった。
その夜、佐倉さんの「再教育」は、朝が来るまで何度も繰り返された。 「指……私のものになってくれて、ありがとう」 彼女の言葉は、僕の心を甘く痺れさせ、自分がどこに「所属」すべきなのかを、はっきりと教えてくれた。
佐倉さんの腕の中で迎えた朝は、人生で最も甘美な目覚めだった。 しかし、その余韻も、工場の門をくぐった瞬間に無残に砕け散る。
「指! 遅いじゃないの、私の『ペット』が」
美津子さんの声だった。僕は美津子さんの愛車から降りた途端、有無を言わさぬ力で作業ラインへと引きずられていった。 佐倉さんが工場長に挨拶するフリをして、僕にだけ小さくウィンクを寄越した。 『夜まで待っててね、指』 その視線に、僕は「夜」への期待と、それまで耐え抜く「昼」への恐怖を感じた。
「昨夜、事務所で何を『加工』されてきたのかしらね? あんたの体が、私たち以外の匂いを覚えているようじゃ困るのよ」 美津子さんは、作業指示を出すフリをして、僕の腰に手を回す。指先が、昨夜佐倉さんに愛撫されたばかりの場所を、まるで「再検査」するようにグリグリと押し付けた。 「ひっ……!」 「声を出さないの。誰かに聞かれたら、あんたが『不適合品』だってバレちゃうわよ?」
和代さんも加わる。彼女は僕の作業着のポケットに手を突っ込み、その中で僕の「中心部」をまさぐり始めた。 「あらあら、美津子さん。夜の研修が甘かったのかしら? 指くん、朝からこんなに元気がいいわ」 「ふふ、じゃあ私たちでしっかり『調整』してあげないとね」
ベルトコンベアが動き、無骨な機械音が響き渡る製造ライン。 他の従業員たちは、僕たちが通常の作業指示をしているとしか思っていないだろう。 だが、僕の体は、二人のベテランの指使いによって、昼間からすでに「フル稼働」状態だった。
「だ、ダメです……今日は午前中に監査が……」 「監査なんて関係ないわ。私たちは今、あんたの『身体の監査』をしているところよ」
美津子さんが僕の背中にぴったりと体を寄せ、僕の耳元で低い声で囁く。 「夜は事務所の女と愛し合うんでしょ? なら、昼間は私たちに、もっともっと、尽くさないとダメじゃない。あんたのその体、誰に作られたものだと思ってるの?」
和代さんの指が、作業着の布越しに、僕の敏感な場所を力強く締め上げる。 「あ、あう……っ!」 不意の刺激に、僕の腰がカクンと折れそうになる。 それを、二人のベテランが左右から挟み込むようにして支え、まるで機械の一部であるかのように動かす。
「……ふぅん、やっぱりね。あの女じゃ、私たちの『教育成果』は打ち消せないみたいね」 美津子さんが満足そうに鼻を鳴らす。 「むしろ、夜の研修で鍛えられた分、反応が良くなってるじゃない。これじゃ、ますます手放せないわね、指くん」
「指くん、今日の残業も期待してるわよ」 美津子さんがニヤリと笑い、僕の肩を叩く。その手には、昼間のうちに「教育」し尽くした僕の反応を楽しむような、サディスティックな優しさが宿っていた。
「……はい、美津子さん。精一杯、努めます」 僕はもう、抗うことをやめていた。 現場で二人のベテランに「道具」として徹底的に磨き上げられ、排出させられる快感。それは僕という人間を、この工場の機械の一部として完全に適合させてしまった。
そして定時のチャイムが鳴る。 工場の門を出れば、そこには純白のブラウスを翻した佐倉さんが、僕だけの「正妻」として待っている。
「お疲れ様、指。……さあ、汚い油の匂いは私が全部、洗い流してあげる」 彼女の車に乗り込めば、そこからは「男」としての再教育が始まる。 お局たちに刻まれた「道具」としての記憶を、彼女は独占欲という名の深い愛で、一晩かけて上書きしていくのだ。
僕の名前は指。二十三歳。 現場の猛獣たちに肉体を、事務所のマドンナに魂を。 二つの異なる愛の生産ラインに組み込まれた僕は、今日もまた、誰にも真似できない「精密な愛」を納品し続ける。
工場の夜景が遠ざかる中、僕は確信していた。 この過酷で、滑稽で、けれど最高に熱い「二重の支配」こそが、僕という人間が最も輝ける場所なのだと。
「……指、愛してるよ」 耳元で囁く佐倉さんの声を聞きながら、僕は深い恍惚とともに、次なる「研修」へと身を委ねた。
(完)
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