放課後の図書館は、試験前だというのに閑散としていた。 16歳の**指(ゆび)**は、一番奥にある長い机の端に座り、一人で数学のノートを広げていた。

他にも空いている席はいくらでもある。それなのに、コツコツとヒールの音を響かせてやってきた30歳くらいの綺麗な女性は、迷うことなく指のすぐ隣に腰を下ろした。

(えっ、なんでわざわざ隣に……?)

指は動揺を隠せない。彼女からは、ふんわりと甘い、大人の香水の匂いがした。 横目で盗み見ると、タイトなスカートから伸びる脚が、自分の制服のズボンに触れそうなほど近い。彼女は慣れた手つきでバッグから文庫本を取り出すと、何事もなかったかのように読み始めた。

心臓の音がうるさくて、数式がまったく頭に入ってこない。 指がペンを握り直そうとした、その時だった。

机の下で、彼女の手が指の膝に触れた。 「……っ!」 驚いて硬直する指をよそに、彼女の細い指先は、這い上がるようにゆっくりと太ももの内側を撫でてくる。

彼女は前を向いたまま、読書を続けている。 だが、その手は容赦なく、指が一番触れられたくない場所――股間へと真っ直ぐ伸びてきた。

柔らかな手のひらが、スラックス越しにそこを包み込む。 「……あ」 声が出そうになり、指は慌てて歯を食いしばった。

16年間、女性に触れられたことなんて一度もない。 頭の中が真っ白になり、目の前の参考書がぼやけていく。 隣に座る彼女の横顔は、相変わらず冷静で、知的な美しさに満ちている。

けれど、机の下では、彼女の指先が執拗に、優しく、指を追い詰めていた。

彼女の手は、もう止まりませんでした。 スラックスの隙間から、彼女の細い指がベルトのバックルに手をかけます。カチリ、と小さな金属音が静かな空間に響き、指は心臓が止まるかと思いました。

「だ、め……っ」 指が蚊の鳴くような声で制止しようとしますが、彼女は気にする素振りも見せません。それどころか、チャックをゆっくりと下ろし、熱を帯びた指先を直接、布地の内側へと潜り込ませてきました。

「ん……っ!?」 生まれて初めて触れられる、異性の生の指先。その滑らかさと、あまりの熱さに、指の背中に電気が走ります。

指が必死に声を殺していると、彼女はふと、机の上に置いてあった彼の「図書貸出カード」に目を向けました。そこに記された名前をなぞるように見つめ、彼女は口角をわずかに上げます。

「……『指』くん、て言うんだ」

名前を呼ばれた衝撃と、下半身を直接刺激される感覚が混ざり合い、指の思考は完全にショートしました。

彼女の指先はさらに大胆さを増していきます。 ただ撫でるだけでなく、指先を巧みに使い、彼が一番感じてしまう部分をピンポイントで責め立てました。

「っ、は……ぁっ……」 指は、自分の太ももを爪が食い込むほど強く掴んで耐えます。 しかし、彼女は逃がしてくれません。もう片方の手で指の首筋を優しく撫でながら、机の下では、指の形を確かめるように、より深く、より強くその手を動かしました。

静かな図書館に、わずかに衣擦れの音と、指の乱れた呼吸の音だけが漏れ聞こえます。 彼女の指が、先端の敏感な部分をキュッと強く押さえつけた瞬間、指の体はビクンと大きく跳ねました。

「あ……だめ、それ……」

指の目にはうっすらと涙が浮かんでいます。16歳の純潔な反応を楽しむように、彼女はさらに手の動きを速め、指を逃げ場のない快感の渦へと引きずり込んでいきました。

彼女は、指が限界ギリギリで震えているのを楽しんでいるようでした。

「ねえ、そんなに震えて……本当は気持ちいいんでしょ?」

耳元で、甘く、それでいて突き放すような冷たさを含んだ声が響きます。彼女の唇が耳たぶに触れそうなほど近く、そこから伝わる熱い吐息だけで、指の全身に鳥肌が立ちました。

「こんなところで、知らない女の人に触られて……。指くん、エッチだね」

いじわるな言葉を浴びせながら、彼女の手の動きはさらに情け容赦なくなっていきます。 指が「やめて」と言いたくても、声を出せば周囲に気づかれてしまう。その弱みを完全に握られている。

「ほら、もっと力を抜いて。……そんなに硬くしてたら、すぐ終わっちゃうよ?」

彼女は、指の耳元で小さく、クスクスと笑いました。 その笑い声と同時に、彼女の親指が一番敏感な部分をグイッと強く押し上げます。

「……っ、う……あ……!」

指は机に突っ伏し、顔を腕に埋めて必死に声を押し殺しました。 目の前が真っ白になり、指先まで痺れるような感覚が押し寄せます。 隣で本を読んでいるフリをしているこの綺麗な女性が、今、自分のすべてを支配している――。

その事実が、16歳の指にとって、何よりも刺激的で恐ろしいものでした。

彼女は、指が限界ギリギリで震えているのを楽しんでいるようでした。

彼女は、指が限界を通り越してガタガタと震えている様子を、楽しそうに横目で眺めていました。

机の下では、彼女の指がこれ以上ないほど激しく、けれど正確に一番弱い部分を追い詰めています。指の頭の中は真っ白で、もう数学の公式も、自分がどこにいるのかも、すべてが快感の霧に包まれて消えてしまいそうでした。

すると、彼女がさらに顔を近づけ、とどめを刺すような言葉を耳に吹き込みました。

「ねえ、指くん……どっちがいい? 『やめて』ほしいの? それとも、このまま『いかせて』ほしいの?」

「……っ、あ……」

究極の選択を迫られ、指の喉がひきつります。 やめてほしい。誰かに見られたら、人生が終わってしまう。 でも、この熱くてたまらない感覚を、今さら止めることなんてできない。

「どっち? 言ってくれないと、わかんないよ」

彼女はいじわるに手を止め、指先でそこをじりじりと焦らすように、ただそっと触れるだけの動きに変えました。 最高潮まで高まった感覚が宙ぶらりんにされ、指は情けないほど腰を震わせます。

「……っ……、く……ださい……」

「え? 聞こえないな。なんて?」

彼女はわざとらしく聞き返しながら、また少しだけ、指の「そこ」をギュッと握りました。

指は、真っ赤になった顔を上げ、潤んだ瞳で隣の彼女をじっと見つめました。

「……っ……ぁ……」

声を出そうとしても、恥ずかしさと快感で喉が締め付けられ、言葉になりません。ただ、これ以上焦らされるのが耐えられなくて、助けを求めるように、あるいは縋るように彼女を凝視することしかできませんでした。

その、16歳らしい純粋で必死な眼差しを見た瞬間、彼女の瞳の奥にさらに妖艶な光が宿ります。

「……ふふ。そんな目で見つめられたら、いじめたくなっちゃうじゃない」

彼女は小さく笑うと、今度は迷いなく、指の「そこ」を手のひら全体で力強く包み込みました。

「言葉にできないなら、体で教えて?」

彼女はそう囁くと、今までとは比べものにならないほど、激しく、緩急をつけた動きで一気に攻め立てました。 机の下で、彼女の手の動きに合わせて衣服が擦れる音が、指の耳には爆音のように響きます。

「っ、あ……ああぁっ!」

ついに我慢の限界が訪れました。 指は机の端を壊れそうなほど強く掴み、背中を大きく反らせます。 彼女の手の中で、熱い感覚が何度も、何度も溢れ出し、指の意識は真っ白な光の中に吸い込まれていきました。

すべてが終わった後、指は机に突っ伏して肩で息をしていました。 彼女はといえば、何事もなかったかのようにバッグから真っ白なハンカチを取り出すと、机の下で指の汚れをさっと拭い、そのハンカチを彼の膝の上に置きました。

「……これ、あげる。お勉強、頑張ってね」

彼女はそれだけ言うと、音もなく立ち上がり、一度も振り返ることなく図書館の出口へと消えていきました。

一人残された指は、情けなさと罪悪感でいっぱいでした。 (なんてことをしてしまったんだ……。ここは公共の場で、自分はまだ高校生なのに……) 自分の不甲斐なさに落ち込み、深くため息をつきます。

しかし、体にはまだ彼女の手の感触が、熱を持ったままこびりついていました。 一度覚えてしまった強烈な快感は、反省すればするほど、逆に鮮明に脳裏に焼き付いて離れません。

「……くそっ……」

指はたまらず、参考書を放り出してトイレへと駆け込みました。 個室に入り、鍵をかける。 頭の中には、さっきまで隣にいた彼女の横顔、香水の匂い、そして耳元で囁かれたいじわるな声。

彼は、彼女に教えられたばかりの熱をなぞるように、無我夢中で自分を慰めました。 二度目の衝撃が体を駆け抜けたとき、彼はようやく、少しだけ冷静さを取り戻しました。

(もう、二度とあんな人には会わない。会っちゃいけないんだ……)

そう自分に言い聞かせ、乱れた制服を整えて、指はトイレのドアを開けました。

ところが、洗面台の鏡の前に、一人の女性が立っていました。 壁に背を預け、優雅に髪をかき上げながら、彼女はこちらを見てニッコリと微笑んだのです。

「……ずいぶん、長かったね?」

それは、今さっき立ち去ったはずの、あの女性でした。

指はあまりの驚きに、その場に釘付けになりました。 「あ……、え……っ」

言葉にならない声を漏らす指に、彼女はゆっくりと歩み寄ります。そして、彼の耳元に顔を近づけると、さっきよりもさらに甘く、抗えないようなトーンで囁きました。

「今日のは、ほんの挨拶代わり。……また明日、同じ席でね。指くん」

彼女の柔らかい唇が、一瞬だけ指の頬をかすめます。 心臓が口から飛び出しそうなほど跳ね上がったその隙に、彼女は今度こそ、軽やかな足音を響かせて廊下の向こうへと姿を消しました。

残されたのは、指一人だけ。 廊下には、まだ彼女がいた証拠である、あの甘い香水の匂いが微かに漂っています。

(明日も、あそこに来るのか……?)

頭では「ダメだ、逃げなきゃ」と分かっているのに、指の体はすでに、彼女が座っていたあの隣の席を、そしてあの熱い指先を、どうしようもなく待ち望んでしまっていました。

指は震える手で、彼女から渡された真っ白なハンカチをポケットの奥にしまい込み、誰もいない廊下でただ立ち尽くしていました。

翌日。指(ゆび)は授業中、一度も教科書の内容が頭に入ってこなかった。 昨夜、何度も思い返した彼女の感触。ポケットに入れたままの、あの真っ白なハンカチ。

(行かなきゃいいんだ。別の場所で勉強すればいい……)

そう自分に言い聞かせながらも、放課後のチャイムが鳴ると、足は勝手に向かっていた。

昨日と同じ、図書館の奥の、隅の席。 指は震える手でノートを広げた。心臓がうるさいほど脈打ち、ペンを持つ指先がわずかに震える。

10分、20分……。 誰も来ない。 「……やっぱり、あんなの冗談だよな」 少しの安堵と、それ以上の言いようのない落胆が胸をよぎった、その時だった。

コツ、コツ、と昨日と同じヒールの音が近づいてくる。 指は息を止めた。

隣の椅子が静かに引かれ、ふわりとあの甘い香りが漂う。 「ちゃんと、待っててくれたんだ」

耳元で囁かれた声に、指はビクッと肩を揺らした。横を見ると、昨日よりも少し胸元の開いたサマーニットを着た彼女が、いたずらっぽく微笑んでいる。

「……来て、しまいました」 「いい子ね」

彼女はバッグから昨日の画集を取り出し、机に置いた。しかし、彼女の手はページをめくるよりも早く、迷いなく机の下へと伸びていく。

指が反応するより早く、彼女の手は昨日と同じ、彼の太ももの内側に触れた。 「っ……!」 「今日は昨日より、ずっと熱くなるまで帰さないから」

彼女は正面を向いたまま、指の耳たぶを優しく指先でなぞった。 「指くん、昨日の夜、自分で『続き』したでしょ? わかるんだから」

見透かされた恥ずかしさで、指は顔を真っ赤にしてうつむく。 しかし、机の下で彼女の手がベルトに指をかけた瞬間、指は昨日よりもずっと早く、欲望に抗えない状態へと引きずり込まれていった。

彼女は、指が言葉を詰まらせているのを見て、さらに深く追い込みます。

「昨日の夜だけじゃないわよね。図書館を出た後、トイレに駆け込んだでしょ?……全部、お見通しなんだから」

指は、心臓が口から飛び出しそうなほど驚きました。あのアト、こっそり個室に入ったことまで知られていたなんて。羞恥心で顔から火が出そうです。

「そんなに私のこと、頭に焼き付いちゃったんだ。可愛い……。でも、それだけ出しておいて、また今日もしようなんて、指くんは欲張りだね」

彼女はそう言いながら、椅子を少しだけ彼の方に寄せました。でも、手は膝の上に置いたまま。昨日のような強烈な刺激を期待していた体は、熱を持ったまま行き場を失っています。

「今日はね、触ってあげない。……自分から『触って』って、ちゃんと可愛くお願いできるまで。それか、昨日のトイレで私のこと考えながら何て言ったか、ここで教えてくれたら考えてあげてもいいけど?」

彼女は顔を覗き込み、意地悪そうに目を細めます。

「……っ、そんな……ここでなんて、言えません……」

「あら、じゃあ今日は、そのモヤモヤしたままお勉強頑張るしかないわね」

彼女は冷たく突き放すようなことを言いながら、机の下で、自分の足を指の足にぴたりと密着させました。手は出さないけれど、確かな大人の女性の体温だけが伝わってきて、指をさらに狂わせます。

指はもう、限界でした。 耳元で囁かれるいじわるな言葉と、机の下でじわじわと攻めてくる彼女の脚の感触に、理性が音を立てて崩れ去ります。

「……っ、もう、無理です……」

指は震える手で、膝の上に置かれていた彼女の細い手首を、縋るように掴みました。16歳の少年にしては強すぎる力で、その滑らかな手を無理やり自分の股間へと引き寄せます。

「あら……強引だね、指くん」

彼女は驚いたふりをしながらも、抵抗することなく、導かれるままに彼の一番熱くなっている場所にその手を預けました。昨日よりもずっと熱く、激しく脈打っているそこを、彼女の手のひらがスラックス越しにしっかりと捉えます。

「あ……ぁ……」

自ら彼女の手を押し当てたことで、指の全身に強烈な電気が走りました。自分から求めてしまったという恥ずかしさと、ようやく得られた感触への安堵が混ざり合い、彼は机に突っ伏したまま激しく呼吸を乱します。

「そんなに、私の手が欲しかったんだ?」

彼女は、指が自分の手首を掴む手にさらに力を込めるのを見て、満足げに目を細めました。そして、昨日よりもずっと手慣れた、力強い動きでそこを動かし始めます。

「自分からお願いしたんだから……最後まで、ちゃんと責任取ってね?」

彼女はそう言うと、空いた方の手で指の後頭部を優しく撫で、母親のような慈しみと、捕食者のような冷酷さが混ざったような手つきで、彼を深い快感の渦へと突き落としていきました。

彼女の手が、指の熱を容赦なく煽り立てます。昨日よりもずっと早く、指の限界はすぐそこまで来ていました。

「……っ! あ、ああぁ……っ」

指は、彼女の手を掴んでいた自分の手にさらに力を込め、机の角に額を押し当てて声を殺しました。頭の中が真っ白な閃光に包まれ、16歳の体はガタガタと激しく震えます。彼女の手の中で、抗えない熱い衝動が何度も何度も弾け、彼は魂を抜き取られたように脱力しました。

静寂を取り戻した図書館の隅で、指の荒い呼吸の音だけが響いています。

彼女は、ぐったりとした指の頭を優しく撫でながら、耳元で愛おしそうに囁きました。

「よくできました。……明日も、同じ時間にここで待ってるから」

その言葉は、もはや命令ではなく、二人の間だけの「約束」でした。指は意識が朦朧とする中で、彼女の手の温もりと、その絶対的な約束に、得体の知れない安心感とさらなる溺愛を感じていました。

「……はい、……お姉さん」

ようやく絞り出したその返事を聞くと、彼女は満足そうに微笑み、昨日と同じように何食わぬ顔で席を立ちました。

夕暮れの図書館。 指は、彼女が去った後の冷え始めた椅子に座り、明日という日が来るのを、もう恐れることなく待ち望んでいる自分に気づいていました。

昨日、一昨日と同じ、いつもの特等席。 指はノートを開いてはいるものの、ペンは一度も動いていなかった。ポケットの中には、きれいに洗濯してアイロンをかけた彼女のハンカチが入っている。

(今日は、ただ触られるだけじゃ嫌だ。自分からも……彼女に触れたい)

16歳の彼にとって、それは心臓が止まるほどの勇気がいる決意だった。

「……随分と気合が入ってるわね? 指くん」

いつの間にか、隣に彼女が座っていた。 ふわりと漂う、もうすっかり覚えてしまった甘い香り。指は逃げずに、真っ直ぐ彼女の瞳を見つめた。

「お姉さん、これ……昨日の、返します」

差し出されたハンカチを受け取ろうとした彼女の手を、指は思い切ってギュッと握りしめた。

「あら。今日は自分から捕まえるんだ?」 「……お願いがあります」

指の声は震えていた。けれど、その目は真剣そのものだった。

「僕に、触らせてください。お姉さんの……その、綺麗な体に」

一瞬、彼女は驚いたように目を見開いた。しかし、すぐに唇を艶やかに歪め、楽しげに目を細める。

「……いいよ。でも、ここは図書館。声を出したり、誰かに見つかったりしたらおしまい。その覚悟、あるの?」

彼女はそう言うと、机の下で自分のタイトスカートの裾を、指の手の届くところまで少しだけ引き上げた。露わになったストッキング越しの太ももが、指の視界に飛び込んでくる。

「ほら、好きなところから……。指くんの『指』で、確かめてみて?」

指は唾を飲み込み、震える手を伸ばした。 16歳の童貞である彼が、生まれて初めて自らの意志で、大人の女性の柔らかな肌へと触れようとしていた。

指の指先が、恐る恐る彼女の太ももに触れました。ストッキング越しに伝わる、想像以上の柔らかさと大人の女性の熱に、指は頭がくらくらしました。

「あ……っ……」 「しーっ、静かに」

彼女に促されるまま、指はおどおどしながらも、その脚をゆっくりとなぞるように撫で始めます。指先から伝わる未知の感触に夢中になりかけた、その時でした。

――コツ、コツ、コツ。

廊下の向こうから、司書のものと思われる規則正しい足音が近づいてきました。

「っ!?」

指は反射的に手を引っ込めようとしましたが、彼女はその手を逆に強く自分の脚に押し当て、もう片方の腕で指の肩を抱き寄せました。二人は一脚の椅子に無理やり座るような形で、密着したまま息を潜めます。

彼女の豊かな胸の感触が腕に当たり、耳元からは彼女の微かな吐息が聞こえる。足音は二人の座る棚のすぐ横を通り過ぎ、やがて遠ざかっていきました。

「……ふぅ。やっぱり、ここは落ち着かないわね」

彼女は小さくため息をつくと、いたずらっぽく指の耳を噛みました。

「指くん、もっと広いところで、お姉さんのこと……じっくり触りたいでしょ?」

彼女は指の手を引いて立ち上がりました。向かったのは、人気のない奥の廊下にある「女性用」のトイレでした。

「え、でも、ここ……っ」 「大丈夫。今は誰もいないわ」

彼女は指を女子トイレの個室に引き入れ、背中越しにカチャリと鍵をかけました。狭い密室内で、二人の距離はゼロになります。

「さあ、続き……。今度は誰にも邪魔されずに、指くんの好きなようにしていいわよ?」

狭い女子トイレの個室。閉ざされた空間には、彼女の甘い香水と、二人の熱い吐息が充満していました。

指(ゆび)は震える手で、彼女のブラウスのボタンに手をかけました。16歳の純潔な指先が、大人の女性の柔らかな肌を直接なぞっていきます。 「……あ、すごい……柔らかい……」 「そう、もっと……好きなだけ触って」

指が夢中で彼女の体を探索していると、彼女は突然、彼の両手首を掴んで壁に押し当てました。 「次は私から。指くん、覚悟して?」 彼女は指の首筋に顔を埋め、吸い付くような刺激を与えながら、空いた手で彼のズボンのベルトに手をかけます。昨日とは比べものにならない、攻めのリード。

その時でした。

――バタン。

トイレの入り口のドアが開く音が響きました。 「……っ!」 指は息を飲み、心臓が飛び出しそうなほど激しく打ち鳴らされます。隣か、あるいはすぐ近くの個室に誰かが入ってきた気配がします。

(女子トイレに男がいるなんてバレたら、本当に人生が終わる……)

極限の緊張感。しかし、彼女は怯むどころか、さらに艶やかな笑みを浮かべました。 「……声出しちゃ、ダメだよ?」 彼女は指の口を自分の唇で塞ぐようにして、密着したまま、ズボンの中にその熱い手を滑り込ませました。

すぐ外には誰かがいる。その気配と静寂の中で、指は声を出すことも逃げることも許されず、彼女の激しい指の動きに翻弄されます。 「ん、……ふ、……っ」 指は必死で彼女の肩に顔を埋め、漏れそうになる声を押し殺しました。

見つかってはいけないという恐怖が、逆に脳を痺れさせるような快感へと変わり、指の意識は混濁していきます。 外の足音や水流の音が聞こえるたびに、彼女の手の動きはさらに深くなり、指を逃げ場のない絶頂へと追い詰めていきました。

外にいた人の足音が遠ざかり、入り口のドアが閉まる音が響きました。

指(ゆび)は全身の力が抜けるような安堵感に襲われましたが、彼女はまだ彼を離しません。壁に押し当てたままの指の耳元で、彼女はいたずらっぽく、熱い吐息とともに囁きました。

「ふふ、……スリルがあって、昨日よりずっと良くなったね。指くん、心臓の音、ここまで聞こえるよ?」

その言葉に、指の心の中で何かが弾けました。恐怖と恥ずかしさ、そして彼女への抗えない情熱が混ざり合い、彼は自分でも驚くほどの力で、彼女の細い腰を強く抱きしめました。

「……もう、離したくないです」

16歳の真っ直ぐな言葉に、彼女の目にも一瞬、驚きと愛おしさが混ざったような色が浮かびました。彼女は優しく指の頬を撫でると、狭い個室の中で彼を便器の蓋の上に座らせました。

「じゃあ、最後まで責任取ってくれる?」

彼女は自らスカートをたくし上げると、指の膝の上にまたがるようにして、ゆっくりと腰を下ろしました。 「あ……っ……」 初めて触れ合う、互いの最も熱い場所。ストッキングの摩擦と、大人の女性の重みが指の体にずっしりと伝わります。

狭いトイレの個室で、二人の体は完全に一つに重なりました。 指は彼女の背中に手を回し、必死にその体温を確かめるように抱きしめます。彼女もまた、指の首筋に顔を埋め、彼の若い鼓動を感じながら、ゆっくりと腰を動かし始めました。

「指くん……私たち、もう普通の関係には戻れないね」

彼女の囁きに、指は無言で首を振りました。戻りたくなんてない。 図書館の静寂の中で始まった二人の時間は、この狭い個室で、誰にも邪魔されない特別な、そして濃密な絆へと変わっていきました。

二人の体が一つに重なり、逃げ場のない熱さが個室の中に充満します。

指(ゆび)は、初めて知る「本物の熱」に圧倒され、ただ彼女の肩に必死でしがみついていました。そんな彼の顔を、彼女はやさしく両手で包み込み、自分の方へと向けさせます。

「指くん……こっち向いて」

至近距離で見つめ合う、潤んだ瞳。 指が息を呑んだ瞬間、彼女の柔らかい唇が、そっと彼の唇に触れました。

16歳の彼にとって、それは待ち望んでいたようで、けれど想像もしていなかったほど甘く、痺れるような初めてのキスでした。

最初は触れるだけの、羽のような優しさ。 けれど、指が不器用に応えようと彼女の背中に回した手に力を込めると、彼女は小さく鼻を鳴らし、さらに深く、唇を重ねてきました。

「ん……っ……、あ……」

口の中に広がる彼女の甘い体温と、下半身から突き上げてくる強烈な刺激。 二つの快感が脳内で混ざり合い、指は自分がどこにいるのか、自分がいったい誰なのかさえ分からなくなるような感覚に陥ります。

彼女の舌先が、迷い込むように指の口内をなぞる。 「……ん……ふ、……っ」 混じり合う吐息。繋がった体から伝わる彼女の鼓動。

指は夢中で彼女の唇を追いかけ、何度も、何度も角度を変えて口づけを交わしました。ただの「お姉さんと男の子」ではなく、一人の男として彼女を求めるように。

狭い個室の静寂を、水音と、重なり合う二人の熱い呼吸だけが支配していました。 指にとって、この図書館の女子トイレで交わした初めてのキスは、一生消えることのない、情熱的で甘美な記憶として刻み込まれたのでした。


                     完

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